【馬関係の本】「根岸の森の物語」2007-07-21 23:28:11

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 題記のタイトルからはわかりにくいかも知れませんが、「競馬は横浜で生まれ育った」というサブタイトルもついていて、根岸競馬場について書かれている本です。
 「馬の博物館」による編集で、かなしんブックスの1冊として、1995年に神奈川新聞社、かなしん出版から発行、発売されました。


 2部構成ですが、第1部は「競馬のふるさと根岸」という題名がつき、この本のメインと言える部分です。
 内容は、前に取り上げた「文明開化うま物語」(http://tbbird.asablo.jp/blog/2007/05/23/1527686)と、いくぶん被っています。
 早坂さんの著作同様、この本も、1861年か1862年かに横浜で始まった最初の洋式競馬についてかなりのページをさいています。

 そのあと、1866年の初期完成から、根岸競馬場の歴史を、その間起きた様々な出来事も織り交ぜながら、ほぼ年代順に追ってわかりやすく述べています。
 例えば、日本在住の外国人、駐在軍の主導による初期は、日本政府の要人もよく出席し、国際友好の舞台になっていたことが、手にとって理解できました。(明治天皇は実に13回も根岸競馬場に来られていたそうです。)
 以降、馬券黙許、公認競馬、馬券禁止、馬券再開と時代が流れ、1942年(昭和17年)の最後の秋開催まで、日本近代競馬の発祥地かつ中心地であった根岸の競馬についても、かなりわかりやすく編集されています。


 第2部「根岸競馬の思い出」は、元騎手や競馬会関係者による座談会の形式になっています。
 まあ、座談会の形式ゆえ内容が散漫になっているのは確かですが、根岸競馬場は坂の上り下りがきつく、カーブも危険なコースであったとか、競馬開催の昼休みには一流の演奏者を招いてのクラシック音楽演奏が行われていたとか、ほかではあまり聞けない、おもしろい話題も出ています。


 それと、この本の特徴は、なんと言っても貴重な古い写真や図版が多数掲載されていることです。

 文中に挿入されているモノクロの写真や絵だけでなく、本の最初にカラーページが数頁ありますが、そちらも、
 根岸競馬場の円形馬場が見える、明治4年に描かれた横浜一覧の絵画とか、
 1865年の英字新聞に掲載されていた駐屯軍競馬のイラストを着色した絵とか、
 横浜開港資料館に所蔵している明治や大正時代の根岸競馬場の写真とか、
 大正や昭和初期、根岸競馬場で実際発売された勝ち馬投票券(馬券)とか、
競馬ファンなら眺めながらいろいろ想像力を馳せ、十分に楽しめるかと思います。

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