佛語自在2018-12-20 00:41:55

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 写真の左側は、明治3年に刊行された「佛語自在」という書物です。

 私などはタイトルを見たときに、仏教の教えを説く書物かなと想像してしまいましたが、そうではなく、仲神保の「佛學示蒙」同様、初期のフランス語の文法解説書であります。
 左側の「英算獨學」はというと、むろん「英」は英語であり、「獨」はドイツ語にあらず(「英獨横文字早学」の「獨」とは違って )、「算術に就て有用なる英語」を独学できる形で、34個の記号と109個の用語を収録した、日本最初の数学訳語集と言われる本です。刊行されたのは明治4年です。


 どちらで国立国会図書館デジタルコレクションで見つけられますが、実は作者が同一人物です。

 橋爪貫一 (松園) は、明治初期から中期にかけて、啓蒙的な著作を数多く残した人で、洋学だけでなく、漢学では「新撰 漢語字林大成」、「訓蒙 康熙字典」、ほか「世界商賣往来」、「横文字 六大洲國盡」、「小學讀本」など、タイトルだけ見ても、著書は多彩だとわかります。

 いまではあまり知られていない人だと思います。
 著作にはどうもどこかからの写しもあったり、オリジナリティは多少怪しいかも知れませんが、あの時代に洋書をそのまま読む、多読博学の人だったのでしょう。

コメント

_ 蓮 ― 2019-01-26 15:48:20

ぼくも彼にならって翻訳つづけよう。

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