【レース予想】2008スプリンターズステークス ― 2008-10-05 09:14:33
先週の東西重賞は、グランプリ・ホースのマツリダゴッホと、ダービー馬のディープスカイがそれぞれ快勝し、人気に応えました。
伏兵が台頭する最近の傾向が完全に断ったかと言うと、雲行きからして、そうは限りません。秋G1第1弾たる今日のスプリンターズ・ステークスは、1番人気に支持されているスリープレスナイトはG3までの実績しかなく、以下各馬も一長一短があって、どれも全幅の信頼がおけません。そうなると穴党ならずとも、配当のいい組み合わせに食指が動きましょう。
人気のスリープレスナイト、カノヤザクラの橋口厩舎2頭は、気合いの消し。夏に連戦奮闘した疲れがそろそろ出るだろう、というのがその表向きの根拠ですが、配当の妙味を狙ったのがその実です。
キンシャサノキセキはもとより短距離で評価の高い馬でした。いよいよ大レース制覇の機が熟し、モハメド・アリが見せた奇跡よろしく、眠らない夜を打ち破ると見ます。
◎ キンシャサノキセキ
○ ファイングレイン
▲ シンボリグラン
△ ジョリーダンス
△ スズカフェニックス
△ ビービーガルダン
伏兵が台頭する最近の傾向が完全に断ったかと言うと、雲行きからして、そうは限りません。秋G1第1弾たる今日のスプリンターズ・ステークスは、1番人気に支持されているスリープレスナイトはG3までの実績しかなく、以下各馬も一長一短があって、どれも全幅の信頼がおけません。そうなると穴党ならずとも、配当のいい組み合わせに食指が動きましょう。
人気のスリープレスナイト、カノヤザクラの橋口厩舎2頭は、気合いの消し。夏に連戦奮闘した疲れがそろそろ出るだろう、というのがその表向きの根拠ですが、配当の妙味を狙ったのがその実です。
キンシャサノキセキはもとより短距離で評価の高い馬でした。いよいよ大レース制覇の機が熟し、モハメド・アリが見せた奇跡よろしく、眠らない夜を打ち破ると見ます。
◎ キンシャサノキセキ
○ ファイングレイン
▲ シンボリグラン
△ ジョリーダンス
△ スズカフェニックス
△ ビービーガルダン
【読後感】「剪燈新話」 ― 2008-10-06 22:52:53

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上はハングルのページ(http://hyangto.pe.kr/L2-B8.htm)で見かけた写真です。
そのものではないですが、瞿佑の「剪燈新話」をネット上で読みました。どうやら中国の南部を舞台にしている話が多いですが、怪談とか不思議な事件を綴る、ショートショートSFのはしりだと言える内容です。
作者は元末明初の人ですが、この作品は現代の白話文に近い筆致で書かれ、とても読みやすいです。
以下は感想というより、印象に残った物の、メモ代わりの雑記みたいなやつです。
・「三山福地志」
元自實という人は、三山福地でひと眠りしただけで、現実世界では六ヶ月間が過ぎていました。浦島太郎の話は、亜光速による宇宙旅行に類似していると言われていますが、この話も後半はその類型だと言えましょう。
劉晨、阮肇が仙女に出会った話は「幽明録」に載っていますが、彼らは仙境に半年間逗留されたので、凡世では数百年も過ぎ、世間に出てようやく会えたのは七代後の子孫でした。
邯鄲の夢枕で知られる「枕中記」や、南柯一夢で知られる「南柯太守伝」などもそうですが、別世界への旅の結果として時間の相対性が語られる例は、中国にはたくさんあるようです。
・「天台訪隠録」
漢の劉晨、阮肇が道を誤って仙境に迷い込んだが天台山ですが、こちらでも同じ天台山で、徐逸という人が道に迷って異境に入った話です。
陶淵明の「桃花源記」が有名ですが、この「天台訪隠録」の話も言ってみればほぼ同じような構造です。
六朝時代にたくさん書かれた志怪小説にも、地底旅行の話などが枚挙にいとまがないほどで、中国の怪談もののひとつの典型だと言えるかも知れません。
・「牡丹灯記」
「牡丹灯籠」の元、だと前に聞きましたが、読んでみると、あれ?と思いました。
なるほど、新三郎が喬生、お露が符麗卿、お米が金蓮で、登場人物はそれぞれ対応が取れますが、雰囲気がだいぶ異なり、同じ話だと言われる違和感があります。
それと、鐵冠道人がだいぶ情け容赦がなく、残酷であるのも印象に残りました。
上はハングルのページ(http://hyangto.pe.kr/L2-B8.htm)で見かけた写真です。
そのものではないですが、瞿佑の「剪燈新話」をネット上で読みました。どうやら中国の南部を舞台にしている話が多いですが、怪談とか不思議な事件を綴る、ショートショートSFのはしりだと言える内容です。
作者は元末明初の人ですが、この作品は現代の白話文に近い筆致で書かれ、とても読みやすいです。
以下は感想というより、印象に残った物の、メモ代わりの雑記みたいなやつです。
・「三山福地志」
元自實という人は、三山福地でひと眠りしただけで、現実世界では六ヶ月間が過ぎていました。浦島太郎の話は、亜光速による宇宙旅行に類似していると言われていますが、この話も後半はその類型だと言えましょう。
劉晨、阮肇が仙女に出会った話は「幽明録」に載っていますが、彼らは仙境に半年間逗留されたので、凡世では数百年も過ぎ、世間に出てようやく会えたのは七代後の子孫でした。
邯鄲の夢枕で知られる「枕中記」や、南柯一夢で知られる「南柯太守伝」などもそうですが、別世界への旅の結果として時間の相対性が語られる例は、中国にはたくさんあるようです。
・「天台訪隠録」
漢の劉晨、阮肇が道を誤って仙境に迷い込んだが天台山ですが、こちらでも同じ天台山で、徐逸という人が道に迷って異境に入った話です。
陶淵明の「桃花源記」が有名ですが、この「天台訪隠録」の話も言ってみればほぼ同じような構造です。
六朝時代にたくさん書かれた志怪小説にも、地底旅行の話などが枚挙にいとまがないほどで、中国の怪談もののひとつの典型だと言えるかも知れません。
・「牡丹灯記」
「牡丹灯籠」の元、だと前に聞きましたが、読んでみると、あれ?と思いました。
なるほど、新三郎が喬生、お露が符麗卿、お米が金蓮で、登場人物はそれぞれ対応が取れますが、雰囲気がだいぶ異なり、同じ話だと言われる違和感があります。
それと、鐵冠道人がだいぶ情け容赦がなく、残酷であるのも印象に残りました。
南部陽一郎先生 ― 2008-10-08 00:33:53
2008年のノーベル物理学賞が決まりました。
ニュースによれば、半分は小林・益川理論を発表した小林誠名誉教授と益川敏英名誉教授、もう半分は南部陽一郎名誉教授に授与すると、発表されました。
南部陽一郎先生の名前が出て、懐かしいです。
学生時代には一時期、超弦理論に惹かれて、2、3冊の入門本を読みましたが、かならず出てくるのが南部先生でした。
のちに米国籍を取得しましたが、南部先生はもともと福井県の出身です。祖父は伝統的な仏具商でしたが、父親は西洋文明に惹かれて英文学を専攻したそうです。
1942年に東京帝国大学理学部を卒業し、1952年に渡米以来ずっとアメリカで研究生活を続け、素粒子論で半世紀余り、世界をリードしていました。
非凡の成果がすぐに認められなかった理由の1つとして、南部先生は大きな発見に関与しながらも、先取性をあまり主張しなかったためだと言われています。ベーテ=サルピーター方程式を最初に発表したのは南部先生でしたし、今回ノーベル賞受賞理由になった「自発的対称性の破れの発見」に関する考察も、当初何年間もゴールドストン定理と呼ばれていました。(いまでは一般的に、南部=ゴールドストン定理)
もう1つの理由は、先生は時代をはるか先んじていたためかも知れません。手元の本によると、「世に認められるまでに何年も、時には何十年もかかる人物。」、「物理学者のあいだでは、次の10年間に物理学がどうなるかを知りたいなら、南部の論文を読め。」
時代がいまよやく追いついた、かも知れません。
ニュースによれば、半分は小林・益川理論を発表した小林誠名誉教授と益川敏英名誉教授、もう半分は南部陽一郎名誉教授に授与すると、発表されました。
南部陽一郎先生の名前が出て、懐かしいです。
学生時代には一時期、超弦理論に惹かれて、2、3冊の入門本を読みましたが、かならず出てくるのが南部先生でした。
のちに米国籍を取得しましたが、南部先生はもともと福井県の出身です。祖父は伝統的な仏具商でしたが、父親は西洋文明に惹かれて英文学を専攻したそうです。
1942年に東京帝国大学理学部を卒業し、1952年に渡米以来ずっとアメリカで研究生活を続け、素粒子論で半世紀余り、世界をリードしていました。
非凡の成果がすぐに認められなかった理由の1つとして、南部先生は大きな発見に関与しながらも、先取性をあまり主張しなかったためだと言われています。ベーテ=サルピーター方程式を最初に発表したのは南部先生でしたし、今回ノーベル賞受賞理由になった「自発的対称性の破れの発見」に関する考察も、当初何年間もゴールドストン定理と呼ばれていました。(いまでは一般的に、南部=ゴールドストン定理)
もう1つの理由は、先生は時代をはるか先んじていたためかも知れません。手元の本によると、「世に認められるまでに何年も、時には何十年もかかる人物。」、「物理学者のあいだでは、次の10年間に物理学がどうなるかを知りたいなら、南部の論文を読め。」
時代がいまよやく追いついた、かも知れません。
天下無敵のスーパーヒロイン ― 2008-10-09 23:54:11
いまさらかも知れませんが、日曜日のスプリンターズステークスを快勝したスリープレスナイトは、実に強かったのです。
夏の疲れを気にしていた(http://tbbird.asablo.jp/blog/2008/10/05/3801239)が、なんのその、まったくの杞憂でした。これで1200メートルのレースばかりで5連勝。1400メートル以上では6戦して2着が最高ですが、こと1200メール戦に限れば通算でも10戦9勝2着1回、いまのところでは純然たるスプリンターです。
それにしても、すでにダイワスカーレット、ウオッカ、アストンマーチャンなどを輩出していたこの世代の牝馬は、本当に過去にも例がないほど、素晴らしい実績を挙げています。
牡馬のほうがだらしないのも、関係するかも知れませんが。
海の向こう、ヨーロッパ競馬の最高峰を誇るフランスの凱旋門賞でも、天下無敵のスーパーヒロインが現れました。
1番人気に支持された噂のザルカヴァ(Zarkava)が、デビュー戦からの連勝を7に伸ばし、牝馬としては15年ぶりの凱旋門賞制覇を果たしました。(しかもその7連勝はすべて、2着馬を2馬身以上離した、危なげない勝ち方。)
凱旋門の相手は、フランスダービーやニエル賞を含めて6勝無敗だったヴィジョンデタ(Vision d'Etat)、キングジョージや英インタナルステータスを含めてG1ばかりで5連勝してきたデュークオブマーマレード(Duke of Marmalade)、去年のアイルランドダービーと今年のコロネーションカップを勝ったソルジャーオブフォーチュン(Soldier of Fortune)、ソルジャーオブフォーチュンを負かしてサンクルー大賞を勝ったユームザイン(Youmzain)、それに日本から遠征したメイショウサムソンなど。英ダービー馬のニューアプローチ(New Approach)は回避したものの、例年以上と言える好メンバーが集まりました。
にもかかわらず、これらの古馬や牡馬のチャンピオンを後方から悠々と交わしていて完勝してしまった様は、物が違うとしか言いようがないです。
元々オークスなどで完勝したゴルディコヴァ(Goldikova)が古馬や牡馬に交えてG1を連勝したり、すでにこの世代の牝馬が強いとの評判が上がっていたが、その頂点に立つザルカヴァは、そんな評判以上の歴史的な名牝になりそうです。
人間さまの世相を反映してか、競馬でも国内外を問わず、いまは女性が強いです。
夏の疲れを気にしていた(http://tbbird.asablo.jp/blog/2008/10/05/3801239)が、なんのその、まったくの杞憂でした。これで1200メートルのレースばかりで5連勝。1400メートル以上では6戦して2着が最高ですが、こと1200メール戦に限れば通算でも10戦9勝2着1回、いまのところでは純然たるスプリンターです。
それにしても、すでにダイワスカーレット、ウオッカ、アストンマーチャンなどを輩出していたこの世代の牝馬は、本当に過去にも例がないほど、素晴らしい実績を挙げています。
牡馬のほうがだらしないのも、関係するかも知れませんが。
海の向こう、ヨーロッパ競馬の最高峰を誇るフランスの凱旋門賞でも、天下無敵のスーパーヒロインが現れました。
1番人気に支持された噂のザルカヴァ(Zarkava)が、デビュー戦からの連勝を7に伸ばし、牝馬としては15年ぶりの凱旋門賞制覇を果たしました。(しかもその7連勝はすべて、2着馬を2馬身以上離した、危なげない勝ち方。)
凱旋門の相手は、フランスダービーやニエル賞を含めて6勝無敗だったヴィジョンデタ(Vision d'Etat)、キングジョージや英インタナルステータスを含めてG1ばかりで5連勝してきたデュークオブマーマレード(Duke of Marmalade)、去年のアイルランドダービーと今年のコロネーションカップを勝ったソルジャーオブフォーチュン(Soldier of Fortune)、ソルジャーオブフォーチュンを負かしてサンクルー大賞を勝ったユームザイン(Youmzain)、それに日本から遠征したメイショウサムソンなど。英ダービー馬のニューアプローチ(New Approach)は回避したものの、例年以上と言える好メンバーが集まりました。
にもかかわらず、これらの古馬や牡馬のチャンピオンを後方から悠々と交わしていて完勝してしまった様は、物が違うとしか言いようがないです。
元々オークスなどで完勝したゴルディコヴァ(Goldikova)が古馬や牡馬に交えてG1を連勝したり、すでにこの世代の牝馬が強いとの評判が上がっていたが、その頂点に立つザルカヴァは、そんな評判以上の歴史的な名牝になりそうです。
人間さまの世相を反映してか、競馬でも国内外を問わず、いまは女性が強いです。
ジュール・ヴェルヌの小説に陶淵明の詩 ― 2008-10-12 05:31:00
小学校の前期日程が終わり、子供が持って帰ってきた連絡票に、「読書タイムでは、ものすごい厚い本を黙々と読み、友達からすごいねと感心されています。」という、先生のお言葉が載っています。
厚い本とは、きっと、図書館のリユース・コーナーで拾ってきたジュール・ヴェルヌです。子供は夢中になり、「十五少年漂流記」、「八十日間世界一周」を読み終え、いま「海底二万里」も第2部の途中まで行っているようです。
Wikipediaによれば、ヴェルヌの日本への紹介は、1878年、川島忠之助が「八十日間世界一周」の前編を翻訳刊行したのが最初だそうです。また、これは日本における最初のフランス語原典からの翻訳書だとも書かれています。
「さらに1896年、森田思軒が英訳からの重訳であったが『二年間の休暇』を翻訳して「十五少年」という標題で雑誌『少年世界』に連載し、単行書として刊行した。」とあとに続きました。
英訳本からの重訳であれば、1884年に太平三次が「海底旅行」(「五大洲中海底旅行」と題し)、1885年に三木愛花と高須治助が「地底旅行」(「拍案驚奇 地底旅行」と題し)、1886年井上勤が「月界旅行」(「九十七時二十分間 月世界旅行」と題し)など、それぞれ先鞭をつけていたはずです。
まあ、森田思軒が「鉄世界」、「秘密使者」に続いて紹介した「十五少年」が流行り、多くの読者を獲得したのは確かだったようです。
その森田思軒の日本語版「十五少年」を、あの梁啓超が「十五小豪傑」のタイトルで中国語に訳し、1902年に自ら主催した「新民叢報」で連載していました。
フランス語(原文)→英語→日本語→中国語と、伝言ゲームのように訳されたわけですが、梁啓超は「訳後語」で、「この訳書をジュール・ヴェルヌに読ませても、本来の価値を減じたとは思わないだろう」と書き、いささか無謀ではないかとこっちが思うほどの自信を見せていました。
フランス語(原文)→英語→日本語→中国語という翻訳ルートは、その時代では普通だったようです。
日本でもよく知られている魯迅も、二十代前半、周樹人という本名で、「月界旅行」と「地底旅行」を日本語版から中国語に訳したそうです。
それもかなり自由な意訳だったようです。
文体は文言で、伝統的な「章回小説」のスタイルを採用し、終わりのところで「欲知後事、請聴下回分解」というように結ぶだけでなく、毎回にそれらしい章題を付けています。
例えば、「月界旅行」全14回の第一回は「悲太平會員懷舊 破寥寂社長貽書」、第二回は「搜新地奇想驚天 登演壇雄譚震俗」、第三回は「巴比堪列炬遊諸市觀象臺寄簡論天文」......という具合です。
凄いことに、その第一回の本文中にも、
「精衛銜微木、將以填滄海、刑天舞干戚、猛志固常在」という陶淵明の詩が出てきます。
戦争で五体満足ならぬ重傷を負いながらも雄心いまだ死せざる大砲クラブの会員を讃えるため、魯迅が勝手に挿入したわけです。
井上勤の日本語訳版にはなく、英語訳版にはなく、ヴェルヌの原作にもあるわけがないです。
ジュール・ヴェルヌに読ませて、本来の価値が減ったと思うかどうか、誰にもわからないでしょう。
厚い本とは、きっと、図書館のリユース・コーナーで拾ってきたジュール・ヴェルヌです。子供は夢中になり、「十五少年漂流記」、「八十日間世界一周」を読み終え、いま「海底二万里」も第2部の途中まで行っているようです。
Wikipediaによれば、ヴェルヌの日本への紹介は、1878年、川島忠之助が「八十日間世界一周」の前編を翻訳刊行したのが最初だそうです。また、これは日本における最初のフランス語原典からの翻訳書だとも書かれています。
「さらに1896年、森田思軒が英訳からの重訳であったが『二年間の休暇』を翻訳して「十五少年」という標題で雑誌『少年世界』に連載し、単行書として刊行した。」とあとに続きました。
英訳本からの重訳であれば、1884年に太平三次が「海底旅行」(「五大洲中海底旅行」と題し)、1885年に三木愛花と高須治助が「地底旅行」(「拍案驚奇 地底旅行」と題し)、1886年井上勤が「月界旅行」(「九十七時二十分間 月世界旅行」と題し)など、それぞれ先鞭をつけていたはずです。
まあ、森田思軒が「鉄世界」、「秘密使者」に続いて紹介した「十五少年」が流行り、多くの読者を獲得したのは確かだったようです。
その森田思軒の日本語版「十五少年」を、あの梁啓超が「十五小豪傑」のタイトルで中国語に訳し、1902年に自ら主催した「新民叢報」で連載していました。
フランス語(原文)→英語→日本語→中国語と、伝言ゲームのように訳されたわけですが、梁啓超は「訳後語」で、「この訳書をジュール・ヴェルヌに読ませても、本来の価値を減じたとは思わないだろう」と書き、いささか無謀ではないかとこっちが思うほどの自信を見せていました。
フランス語(原文)→英語→日本語→中国語という翻訳ルートは、その時代では普通だったようです。
日本でもよく知られている魯迅も、二十代前半、周樹人という本名で、「月界旅行」と「地底旅行」を日本語版から中国語に訳したそうです。
それもかなり自由な意訳だったようです。
文体は文言で、伝統的な「章回小説」のスタイルを採用し、終わりのところで「欲知後事、請聴下回分解」というように結ぶだけでなく、毎回にそれらしい章題を付けています。
例えば、「月界旅行」全14回の第一回は「悲太平會員懷舊 破寥寂社長貽書」、第二回は「搜新地奇想驚天 登演壇雄譚震俗」、第三回は「巴比堪列炬遊諸市觀象臺寄簡論天文」......という具合です。
凄いことに、その第一回の本文中にも、
「精衛銜微木、將以填滄海、刑天舞干戚、猛志固常在」という陶淵明の詩が出てきます。
戦争で五体満足ならぬ重傷を負いながらも雄心いまだ死せざる大砲クラブの会員を讃えるため、魯迅が勝手に挿入したわけです。
井上勤の日本語訳版にはなく、英語訳版にはなく、ヴェルヌの原作にもあるわけがないです。
ジュール・ヴェルヌに読ませて、本来の価値が減ったと思うかどうか、誰にもわからないでしょう。
破城投石機、ではなく、攻城バリスタがただいま発売中 ― 2008-10-14 00:12:05

昔、Age of Empire IIとその拡張版にハマっていたのは、前にも書いた通りです。
数あるユニットのなかでも、コピュータAIと対戦する際に、もっとも扱いに困るのが、投石機系です。
まず自軍ではあまり作りたくないです。なにしろコストが高く、動きが遅く、防御力が低い、おまけ範囲攻撃なので、きちんと操作しないと味方の兵隊にも大ダメージを与えてしまいます。
ところがコピュータがこいつを出すと結構厄介です。とくに最終進化した破城投石機、ちゃんと一台ずつ標的を狙って動いてくるから、被害が広がる前にほぼ最優先に潰す必要があり、気が抜けません。
投石機、Wikipediaによると、カタパルトかオナガー(Age of Empire IIでは、破城投石機がsiege-onager)ですが、なんでもオークションするeBayで、ただいま売られている情報があります。(↓) http://cgi.ebay.co.uk/ws/eBayISAPI.dll?ViewItem&item=180295129086
定価25,000ポンドであります。
こちらYouTubeでは、その制作過程と試射したときの映像があります。
10月14日23時訂正:
映像をよく見れば、売り出されるのは、アームで投げる破城投石機(siege-onager)ではなく、弦を引き絞り打つ、大型の攻城バリスタであるようです。
ということで、タイトルをちょっと変更しました。
古いレストランの百年間の精神を溶かす錯覚 ― 2008-10-14 22:52:47
dragonfly様が前回スペインへご旅行され、Botinへ行かれたときの記事(http://dragonfly.asablo.jp/blog/2008/01/12/2556523)を読み直して、改めて羨ましく思いました。
ヘミングウェイも通っていたBotinは、ギネスにも載っている、現存する世界最古のレストランだそうで、創業は1725年です。
日本では、あの徳川吉宗が八代将軍の座にいる享保年間、中国だと清王朝のまだ初期、雍正帝の在位中です。
この歴史あるレストランのサイト(http://www.botin.es/)を見ると、フロントページに国旗が並んでいます。
おっ、日の丸もありまして、日本語を含む多言語サイトですね。
しかし、です。
恐らく自動翻訳による日本語のページは、開いてみればわかりますが、まったく理解不能な文章になっています。
試しに英文なら「Philosophy of the Company」の最初のところを写しましたが、読みながら、コンピュータによる自動翻訳が実用できるレベルまで、あと何年かかるだろうかと、嘆いてしまいました。
「会社の哲学」
結婚がEmilio GonzalezとAmparo Martinによって形作ったときに、Madrilenianの古いレストランの百年間の精神の精神を溶かす錯覚を写し出したこれは子供、Antonio及びJoseが開発し、家族及びしっかりと"オーストリアのマドリード"の中心で定着する残物の第三世代がこの頃は続ける美しい冒険の基盤を解決した。これらの年中のRestaurante Botinの道を支配した哲学は、ある機会で、Antonio Gonzalez Martinが表現した考えに忠実に反映される。......
ヘミングウェイも通っていたBotinは、ギネスにも載っている、現存する世界最古のレストランだそうで、創業は1725年です。
日本では、あの徳川吉宗が八代将軍の座にいる享保年間、中国だと清王朝のまだ初期、雍正帝の在位中です。
この歴史あるレストランのサイト(http://www.botin.es/)を見ると、フロントページに国旗が並んでいます。
おっ、日の丸もありまして、日本語を含む多言語サイトですね。
しかし、です。
恐らく自動翻訳による日本語のページは、開いてみればわかりますが、まったく理解不能な文章になっています。
試しに英文なら「Philosophy of the Company」の最初のところを写しましたが、読みながら、コンピュータによる自動翻訳が実用できるレベルまで、あと何年かかるだろうかと、嘆いてしまいました。
「会社の哲学」
結婚がEmilio GonzalezとAmparo Martinによって形作ったときに、Madrilenianの古いレストランの百年間の精神の精神を溶かす錯覚を写し出したこれは子供、Antonio及びJoseが開発し、家族及びしっかりと"オーストリアのマドリード"の中心で定着する残物の第三世代がこの頃は続ける美しい冒険の基盤を解決した。これらの年中のRestaurante Botinの道を支配した哲学は、ある機会で、Antonio Gonzalez Martinが表現した考えに忠実に反映される。......
錯覚 第2弾 ― 2008-10-15 22:58:58
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前回(http://tbbird.asablo.jp/blog/2008/07/17/3631554)の記事から約3ヶ月、久々の第2弾です。
上の画像をクリックしてみてください。
これは静止画像ですよ。本当です。
ちなみにこれは、立命館大学の北岡教授の作品です。
ほかにもいろいろありますので、公式ホームページをご覧ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/
人間の目なぞ、簡単に騙せる、騙されるものだと心得るべきです。
前回(http://tbbird.asablo.jp/blog/2008/07/17/3631554)の記事から約3ヶ月、久々の第2弾です。
上の画像をクリックしてみてください。
これは静止画像ですよ。本当です。
ちなみにこれは、立命館大学の北岡教授の作品です。
ほかにもいろいろありますので、公式ホームページをご覧ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/
人間の目なぞ、簡単に騙せる、騙されるものだと心得るべきです。
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