南部陽一郎先生2008-10-08 00:33:53

 2008年のノーベル物理学賞が決まりました。
 ニュースによれば、半分は小林・益川理論を発表した小林誠名誉教授と益川敏英名誉教授、もう半分は南部陽一郎名誉教授に授与すると、発表されました。


 南部陽一郎先生の名前が出て、懐かしいです。
 学生時代には一時期、超弦理論に惹かれて、2、3冊の入門本を読みましたが、かならず出てくるのが南部先生でした。

 のちに米国籍を取得しましたが、南部先生はもともと福井県の出身です。祖父は伝統的な仏具商でしたが、父親は西洋文明に惹かれて英文学を専攻したそうです。
 1942年に東京帝国大学理学部を卒業し、1952年に渡米以来ずっとアメリカで研究生活を続け、素粒子論で半世紀余り、世界をリードしていました。
 

 非凡の成果がすぐに認められなかった理由の1つとして、南部先生は大きな発見に関与しながらも、先取性をあまり主張しなかったためだと言われています。ベーテ=サルピーター方程式を最初に発表したのは南部先生でしたし、今回ノーベル賞受賞理由になった「自発的対称性の破れの発見」に関する考察も、当初何年間もゴールドストン定理と呼ばれていました。(いまでは一般的に、南部=ゴールドストン定理)

 もう1つの理由は、先生は時代をはるか先んじていたためかも知れません。手元の本によると、「世に認められるまでに何年も、時には何十年もかかる人物。」、「物理学者のあいだでは、次の10年間に物理学がどうなるかを知りたいなら、南部の論文を読め。」

 時代がいまよやく追いついた、かも知れません。