【馬関係の本】「ダービー卿のイギリス」 (山本雅男 著)2007-09-11 00:57:35

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 玉石混交ともいうべき(笑)、愛しいPHP新書の1冊で、サブタイトルに「競馬の国のジェントルマン精神」とあります。


 なるほど、ダービー卿や帝都ロンドンに関する話は、うんちくとして面白いです。
 そういう意味でも、お勧めできる1冊です。

 しかし、本書作者の論点をあげると、納得できる部分もあれば、どこかひっかかってしまう部分、首を傾げたくなるところも、いくらかあります。


★金銭のため汗を流すことを笑い、不労所得を最善とする大英帝国の有閑階級、彼らの遊戯的な目的から始まったのが近代競馬です。

 これはまあ、イギリス競馬の成り立ちから考えれば、確かにそうです。
 しかし、近代競馬の歩みを考えれば、イギリス以外、プロイセン、ポーランド、フランスなどの国がどうかかわるかも考察に入れると、もっといろんな面が出るかと思います。


★現代は大衆の時代であり、日本の競馬は大衆を主体にして成功を収め、イギリスの競馬は古風な趣を抱えながらも、甚だ時代錯誤となっています。

 日本の競馬は成功したかですね。出版してから10年、競馬のバブル人気が弾け、地方競馬は経営が成り経たず、赤字を理由に廃止された競馬場も増えてきました。
 イギリスの競馬、あるいはもっともその本流を受け継ぐオーストラリアの競馬は、相変わらずそのままですね。


★日本では競馬をギャンブルとしてしか見ないが、イギリスではスポーツとしての性格が色濃く残っています。

 これもどうでしょうね。
 イギリスで競馬はスポーツであり、紛れなくギャンブルでしょう。ギャンブルの語源はゲームと同じで、スポーツもその原義は気晴らしなのですから、大差はないかも知れません。
 日本でディープインパクトの元返し応援馬券が、あんなに売れることが、むしろイギリス紳士は理解できない、のではないでしょうか?

ベルリン国立歌劇場2007-09-11 23:25:36

 ベルリン国立歌劇場が、今月末から再び来日するようです(http://www.nikkei-events.jp/opera/berlin/be_index.html)。

 モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」や、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」は、いい意味でも悪い意味でもスタンダートですが、シェーンベルクの「モーゼとアロン」をやるとは思いませんでした。

 かつては演奏不可能だと考えられるぐらい、技巧的に難しい作品ですし、なにより内容が渋いうえ未完成なので、お客さんを呼ぶのは難しいかと考えられます。

 見に行きたい衝動もありますが、たぶんは行けないでしょう。
 残念ながら。