日本語ことば遊び(1)2007-08-28 01:06:33

 ちょっと前に、whyさんのブログで「回文遊び」なるものをはじめて見ましたが(http://blogs.yahoo.co.jp/bao_bao_cj/folder/850356.html)、日曜日に図書館から借りた「ことば遊びの楽しみ」(阿刀田高 著)という本をめぐると、なんと、ここにも「回文という怪文」という章が設けられています。

 「竹藪焼けた」
 「イカ食べたかい」
 「ヒナゲシのたくさん咲く楽しげな日」

 ここまでは、まあ、いいとしましょう。


 現代の回文名人杉本寛の作だという「邪馬台の詩(やまたいのし)」には、正直、あきれるしかありません。


 「邪馬台の詩」

 雪と闇夜、鳥啼きし。ふと卑弥呼が眠りから無意識に家の異変肌で知りし。気は騒ぎ、潮騒似て。「おのおの、起きよっ」......狗奴では?
 手人の卑狗の来て告げゆ。「永遠邪馬台の眠る血をかき立てきしが、奴(な)の地の見たことを!人負けにしは、貴ぶ神や西の家に崩ず。今は形見惜し。山焼く狗奴の兵の見た。敵が来て、民の家のなく、悔やまや。死を見、鷹は舞い、数歩に兵の死に、病み、兜を飛ばし逃げまどひ、男、民の血の流しきて滝が落ちる。胸の痛まやは」と。
 「行けっ」。敵の首の飛びて、果てなく強き斧。斧を手に勲しき技、歯ぎしりしてた蛮兵の塀に来し居。群がり、棟囲み、火飛ぶ。
 「死期なり。台与、見や」と消ゆ。
                                  死の悼まや。

 <原注> 狗奴(くな): 句奴国
      卑狗(ひく): 官名
      奴(な)の地: 奴国
      台与(とよ): 卑弥呼の娘

 タイトルまでが回文に含まれての、堂々の306字。多少無理ぽい仮名遣いもありますが、ほとんど小説の一部だと言ってもいいぐらいの内容です。
 回文になっているかを、確かめるだけでも骨が折るぐらい見事さで、とても正気の沙汰だとは思えません。


 気を取り直して(?)、ローマ字による日本語の回文もあるようです。

 「Uhuhu, Aishiau huhu」(うふふ、愛し合う夫婦)
 「Utte goro, gettu」(打ってゴロ、ゲッツー)
 「Edo ni honobono hinode」(江戸に、ほのぼの日の出)

 まあ、すごいです。

コメント

_ mouse ― 2007-08-28 19:05:12

大変ごぶさたしております。コメントいただき嬉しくおもいます。あのときの回文、FUJIMOTOさんはピカイチでした。脱帽です。FUJIMOTOさんならば、回文だけで一冊本が出せそうですヨ。

_ why ― 2007-08-28 20:19:52

先日会った友人も、Fujimotoさんの回文は本当に素晴らしいと言っていました。
そういえば、村上春樹は捻った回文を一冊本にまとめて出版しているらしいですよ。Fujimotoさんご存知でしたか。

_ T.Fujimoto ― 2007-08-29 23:23:53

mouseさん、こんばんは。
日本の実家から、また台北へ戻られたんですね。
我が家では、昨日、妻と子供が台湾から戻ってきたばかりです。
一夏の休みが過ぎ、普通の日々に戻ったということでしょうか。

_ T.Fujimoto ― 2007-08-29 23:44:38

whyさん、こんばんは。
回文に限らず、実は、村上春樹はその翻訳作品も含めて、まったく読んだことがないです...
というより、恥ずかしいながら、回文という言葉遊びのジャンルは、その存在すらまったく知りませんでした (^^;)

いま読んでいる阿刀田さんの著書によれば、「邪馬台の詩」 は「回文ことば遊び資料館」という本に載っているもので、同じ東京堂出版から、「回文遊び大事典」という本も出版されているらしいです。
実にまあ、多くの暇人、いや先達が、風流な?ことば遊びに精を出していたもんですね (笑)

_ けいこ ― 2007-08-29 23:45:36

こんばんは。
この長い回文、びっくりしました。すごいですね、小説みたいです。
ローマ字の回文、初めて見ました。オモシロイ!

_ T.Fujimoto ― 2007-08-31 06:40:34

けいこ様、おはようございます。
長い回文、濁音など無視する、ゆるめのルールのようですが、それにしてもすごいですね。
愛すべき、壮大なる無駄な偉業?

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