八方美人的な絵2009-02-18 00:09:42

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 これ(↑)が世界中でもっとも好かれている絵です。

 まさか。
 いや、そう反論されるかとは思いますが、ちゃんと世界中の人々からアンケートを取った結果に基づいて、ふたりの画家が一所懸命描いたものです。

 アンケートというのは、 「もっとも好きな色は?」、「二番目に好きな色は?」、「モダンアートと伝統アートで好きなのはどっち?」、「戸外と室内のシーンで好きなのはどっち?」のような文字による質問です。描くほうはとにかく可能な限り、その多数意見に従って、さくさくと描き込んだわけです。
 したがって、一番人気の青と二番人気の緑が多用され、野外の風景が描かれて、絵の中には野生動物(ペットよりも好まれて)やグループ(個人より好まれて)なども含まれています。

 質問は三十数問にのぼり、結果はこちらです(http://www.diacenter.org/km/surveyresults.html)。

 なにはともかく、上の絵が結論になります。
 さあ、これは芸術なのでしょうか? 科学なのでしょうか?
 え?そのどちらでもない?

コメント

_ why ― 2009-02-18 21:44:16

興味深い記事ですね。なんだか考えさせられて、思わずニヤニヤしてしまいました。

万人受けを狙うことはつまり個性を一切合切切り捨てることで、誰からも愛されるためには角という角を取って面白みのひとつない凡庸さに徹さなければならないことですかね。ハッとさせられる哲理ではありませんか。

これはやはり科学でしょう。

_ 月の光 ― 2009-02-18 23:12:35

一言で表すと、「統計の嘘」でしょうか。
絵を作成する上での必要要素をアンケートで集めたような錯覚を与えていますよね。
絵の作成であれば、「誰に描いて欲しいか?」と言う一番重要な要素が抜けています。
例えば、集団肖像画の場合、登場人物を平等に扱うがゆえに、記念撮影的なつまらない物になってしまいます。でも、レンブラントに描かせると「夜警」の様に集団肖像画でありながら、芸術性が発揮されます。
この絵も、各要素の扱いにメリハリをつければ、心に響く作品になったかもしれません。

_ 花子ママ ― 2009-02-19 08:43:16

え?
芸術でも科学でもなく商品を包む包装紙にぴったりと思う。
毒にも薬にもならず、ひたすら鑑賞者の精神の安定を願って
いるから。それとも歯科医院の待合室に掛けるのもイイかな。
こんなレベルの発想で申し訳ありませぬ。。。

_ uedada ― 2009-02-19 10:27:09

「俺、チョコも味噌汁も大好きだけどチョコ入り味噌汁はイヤだよ」
昔ある友人が言った言葉なんですが..わはは。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-19 22:46:17

whyさん、はっきり言ってしまえばそうなのでしょうね。
たぶんですが、このプロジェクト?を実行した人たちも、半分はwhyさんが書かれたような哲理を実証するためにやったのだと思います。
あとの半分は?いや、ただのギャグでしょう (^^;)

_ T.Fujimoto ― 2009-02-19 22:53:34

月の光さん、描く人の技量にも左右されますね。それはまあ否定できない事実です。
但し絵のテーマを選べ、と聞かれても、「夜警」のようなシチュエーションは一般ピープルのアンケート結果からは、うーん、たぶん出てこないじゃないでしょうかね。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-19 22:56:19

花子ママさん、いいことを仰られますね。
下手かというとそうでもなさそうですが、毒にも薬にもならない、包装紙にぴったりな図柄になってしまいました。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-19 23:02:42

uedadaさん、なるほど、チョコ入り味噌汁ですか?それは酷いですね。
この絵で言えば、真ん中に立っている古風な人物、実はジョージ・ワシントンを描いたそうです。
「Prefer famous or ordinary people?」の質問に対して、アメリカでは有名人のほうがいくらか票を集めたので、アメリカ第一の有名人であるワシントンを入れたわけです...(で、おい!)
いや、このレベルになると、月の光さんが仰ったような描く人の技量に関わってくるかも知れませんが。

_ sharon ― 2009-02-20 11:19:16

そもそも日本では「八方美人」の言葉自体が褒め言葉ではありません。八方美人だねと言われでもぜんぜんうれしくありません。(私だけ?)

_ T.Fujimoto ― 2009-02-20 23:23:25

sharonさん、もちろんタイトルは僕が思いつきでつけたものですが。
まあ、貶すほどでないにしろ、素晴らしい褒め言葉で使っていないのは確かですね。

_ yoshi ― 2009-02-23 01:10:22

興味深い記事ですね。化学の世界では、八方美人は“理想状態”(ideal condition)?工場では“最适宜”(optimum)のことでしょうかね?我々は、その状態に近づくようと、毎日必死ですわ(笑)。。。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-23 06:38:44

yoshiさん、おはようございます。
八方美人は理想状態かどうかは別として、なかなか到達できない目標が理想なのでしょうか。まあ、空に高い北極星へは決して辿り着けないが、暗闇で航海する船はそれを道しるべとして前に進みますね。

それにしても化学用語は難しいです。optimumを我々の職場ではコンパイラの最適化レベルだけで使っていますが。

_ sharon ― 2009-02-23 09:41:55

改めて、「八方美人」中国語で訳すと「八面玲珑」ですね、目の前に浮かんだ人物は「红楼梦」里的王熙凤。

_ yoshi ― 2009-02-24 05:10:26

おっしゃるとおりです。Fujimoto さんは厳密ですね。八方美人と理想状態は別の話ですね。たぶん私の中には同じく、いずれも到達のできないことだと思っています。正直、「八面玲珑」の人は私が尊敬したいくらいが、変よね?optimmum=“最適化”!最適の為に理想を削らないといけないから、これも難しい。なにを言っているのか、自分もわからなくなった、とほほ

_ 花うさぎ ― 2009-02-24 07:08:41

Sharonさん、おっしゃる通りです。
「八方美人だね」と言われて褒められたと思う人はいません。「誰にでもよい顔をする人なんて、信用できない」ということでしょ?

_ T.Fujimoto ― 2009-02-25 22:05:58

sharonさん、八面玲瓏ですか、なるほど。〆(。。) メモメモ
紅楼夢は、まとも読んでいませんが、確かに王熙鳳にはそんなイメージがありますね。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-25 22:23:20

yoshiさん、変じゃないと思います。「八方美人」はある意味で素晴らしい才能ですもの。
理想と現実をどこの線で妥協するか、決断しなければならない場面は、仕事でもプラベートでもたくさんありますね。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-25 22:26:41

花うさぎさん、褒め言葉でないのは確かですが。
そのように器用に生きていける人は、全然できないこちらから見ると、凄いなぁと感心してしまうことも多々あります。

_ 花うさぎ ― 2009-02-26 22:39:06

「八方美人」は誰からもよく思われなければならないわけで、「あんたって八方美人じゃん?」と言われた時点で、「誰からもよく思われる」という目的の達成に失敗したことになるわけで、そうなると…。

「八方美人」とは、たいしてすごいものじゃないのではないかと思いません?

それとも本物の八方美人とは、そういうものじゃなくて、みんなに「自分だけに特別によくしてくれる」と勘違いさせるテクなんでしょうか。

(つまらない屁理屈ですね。われながら)

_ sharon ― 2009-02-27 12:50:35

すみません、「八方美人」騒ぎを起こしたことにお詫びいたします。
難しく考えないで、率直にいえば、「八方美人」はまずトイレには行かないはずです。(笑)

_ T.Fujimoto ― 2009-02-28 00:31:31

ふ、ふ、花うさぎさんの仰る通りです。
「自分だけに特別によくしてくれる」だと思わせるのが、それこそ至高のテクニックです。

近すぎると一面しか見えないですが、ちょっと離れて見れば八方美人ぷりがよくわかったりする場合もありますね。

_ why ― 2009-02-28 00:38:11

こうして考えると、八方美人もなかなか大変な仕事ですね。

_ T.Fujimoto ― 2009-02-28 00:39:19

sharonさん、いいえ、いいえ、面白い話になって感謝したいぐらいです (^^)
但し「八方美人」はたぶん「完璧」という意味が薄れて、近頃ではどっちかと言えば、だれに対しても如才なく振る舞う人を指すぐらい使い方が多いではないでしょうか?

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