【レース回顧】 2016菊花賞2016-10-23 17:35:39

 逃げたミライヘノツバサが淀みのない流れを作り、一番人気のサトノダイヤモンドは中団、二番人気の皐月賞馬ディーマジェスティはサトノダイヤモンドを見るようにやや後ろに構える展開でした。

 曇り空の下の京都競馬場、第77回の菊花賞であります。
 道中二番手以降は入れ替わりの忙しい競馬となりましたが、三コーナーでディーマジェスティが外から追い上げると、その内にいるサトノダイヤモンドも合わせて手応え良くポジションを上げていきます。
 直線に入ると、早いのではないかと思うほど、サトノダイヤモンドがすぐに先頭に立ちましたが、ディーマジェスティとともに追い上げるレインボーラインやエアスピネルの追撃を問題にせず、突き放すように先頭で淀3000メートルのゴールを通過しました。
 サトノダイヤモンドはこれで、オーナーとともに悲願のG1初制覇となりましたが、元々世代レベルの高い現三歳世代でもピカイチの素質を持っている、と言われる馬です。均整の取れた馬体に軽快なフットワーク、血統的にも奥がありそうです。距離が短くなればディーマジェスティの巻き返しもあるかも知れませんが、凱旋門賞に遠征して菊花賞不出走になったマカヒキも帰ってきます。そのなかでも、サトノダイヤモンドは間違いなく、これからの中央競馬をリードして行くエースだと思わせるだけのレースをしたと思います。

 さあ、秋は続きます、

【レース回顧】 2015ダービー2015-06-02 20:57:37

 淀みない厳しい平均ペースのなか、有力馬たちがそれぞれのポジションをキープして、ホームストレートに差し掛かりました。

 2月の共同通信杯は、リアルスティールが勝ち、1番人気のドゥラメンテが2着でした。3月のスプリングステータスは、キタサンブラックが勝ち、1番人気のリアルスティールが2着でした。4月の皐月賞は、ドゥラメンテが勝ち、リアルスティール、キタサンブラックが2着と3着を占めました。
 5月末のダービー、臨戦過程とこれまでの印象点から、単勝人気では差が付きましたが、もしかして実は3強で力が拮抗しているかも、とも思いました。
 先行したキタサンブラックが直線で逃げ馬に並びかけようかのその瞬間、府中の長い直線に、これからどんな物語が生まれるのかなと、様々な可能性が一瞬に目の前に浮かび、テレビの前で身を構えました。


 しかし、様々な可能性は、たったのひとつを除き、あっという間に音もなく消えてしまいました。本命馬のドゥラメンテがあっさりと抜け出し、その瞬間から、十数万人が集まる東京競馬場にはすでに物語がなくなりました。
 激しい気性をいままで見せただけに、こうも優等生のレース運びをされるは思いませんでした。過去の幾多の名馬もが苦しんだ府中の長い直線を、ドゥラメンテは実に安定した走りで悠々と駆け抜けました。
 ウェットな歴史に別れを告げ、ライバルと目された同世代の馬たちに引導を渡し、ドゥラメンテは歴史的名馬への階段を上り始めたかも知れません。

 秋は菊花賞に進んで3冠の栄光を掴みに行くのか、それともロンシャンに赴き世界を相手に戦うのか、早くも坊間では次の話で盛り上がっています。
 いずれにしても、このような大いなる可能性を持つ豪傑が現れることに、競馬ファンたちは心が躍ります。


 スポットライトを浴びる勝者がいれば、必ず敗者もいます。
 今日のニュースによれば、2番人気で4着に敗退したリアルスティールは、レース中に左第1指骨剥離骨折を発症し、これから数ヶ月の休養を要することが判明しました。

【レース予想】 2015ダービー2015-05-30 22:51:53

 そして、いよいよです。
 言い古された表現ですが、やはり競馬の祭典、馬キチの心が躍る日本ダービーです。

 まず、皐月賞で凄まじい豪脚を披露したドゥラメンテ、皐月前の混戦ムードから一強に変わった、と坊間の評です。しかし、ほとんど狂気じみたその瞬発力は、直線の長い府中でも再び炸裂できるのでしょうか?折り合いを欠く危ういところも、なお拭いきれないままです。
 2走続けて勝ち運に恵まれなかったが、強さと堅実さを見せたリアルスティール、これを本命とします。東京ではさらにを輝きが増すディープインパクトの仔です。

◎ リアルスティール
○ キタサンブラック
▲ ドゥラメンテ
△ アダムスブリッジ

 明日の午後、歓喜の瞬間を迎えられるのは、はたしてどの馬の関係者たちになるのでしょうか?
 こちら傍観者は、気楽です。

【レース回顧】 2015スプリングステークス2015-03-22 23:05:17

 スローペースで物足りない、という声も聞こえてきそうですが、レースには迫力がありました。
 クラシック本番に向けてのトライアルはいくつもあって、近年の傾向通り、本番までは有力馬が分散していますが、今年の場合、このスプリングステータスが一番レベルが高かったような気がします。

 それだけに、重賞初挑戦で無キズの3連勝を飾ったキタサンブラックは、価値の高い勝利だったと言えます。跳びの大きいストライドは、多頭数の本番でごちゃつく際に心配がなお残りますが、今日のペースで折り合えたセンスの良さなら、杞憂に終わる可能性が高いです。
 このまま無事なら、オーナーの北島三郎さんの「まつり」が、皐月賞の日で聞けるかも知れません。

 負けて強しなのは、2着に入った人気馬のリアルスティールです。ゴール前では一瞬、届いてしまうかも、と思ったほどの、迫力のある差し脚でした。
 休み明けで3着になった2歳チャンピオンのダノンプラチナ、やはり京成杯以来でちょっと間隔があった4着のベルーフなども、それぞれ本番に向けての見せ場があり、希望が残りました。

 もちろん、無敗の弥生賞馬サトノクラウンなど、他路線組からも強力なチャレンジャーが出てくるし、本番が楽しみになりました。

オルフェーヴルの引退レース2013-12-23 23:12:44

 一日経ってもなおいくぶん気持ちが高ぶったままです。

 むろん強いのは知っていました。知っているつもりでした。勝って競走生活を終えるのではないかと想像もしました。しかし、オルフェーヴルがラストランで見せたパフォーマンスは、想像をはるかに超越したものでした。
 直線で後続に突き放す様は、神々しく思ってしまうもので、なんという強さだと中継アナが思わ漏らしたのも、実によくわかります、
 これで引退するのは、つい勿体無く思ってしまいますが、終わらない夢はありません。決まったことなので、まずはお疲れ様、と言いたいと思います。

 レース後の池添騎手のインタビューも、素直で感動的でかつさわやかでした。有馬記念の優勝ジョッキーインタビューと言えば、トウカイテイオーの田原さんが思い出されますが、あれに並ぶぐらい良いインタビューでした。
 ということで、記憶にも記録にも残る、とても気持ちの良い有馬記念でした。

オルフェーヴル、バンザイ (3月18日の中央競馬観戦記)2012-03-19 22:50:42

 3月18日は、いつもの用事のない日曜日と同じ、競馬中継を流すテレビの前に鎮座しました。


 話題騒然となった阪神大賞典(G II)も、もちろん見ました。名牝ファビラスラフインの仔ギュスターヴクライの初重賞勝ちのレースでもありますが、やはり今年の阪神大賞典は、昨年の4冠馬オルフェーヴルが大迷走したレースとして、記憶されるのでしょう。


 一旦止まってから鋭く巻き返すあたり、凄いものを見た気も確かにしますが、やはりこういうのはダメだと思います。
 そうではないと信じて切っていますが、内容的には不正騎乗(八百長)の疑いさえかけられるもので、国によっては暴動が起きてもおかしくないレースです。

 何が起きたのでしょうか?
 いつもと違って、向こう正面の直線で早々と先頭に立ち、早く行き過ぎたと慌てた騎手が抑えたせいもあって、そこでレースが終わったと馬のほうが勘違いしたのでしょう。現に3コーナーに向かわず、外目に寄りながら走りを一旦止めてしまいました。
 前走の有馬記念(2500M)とほぼ同じ距離を走りましたし。

 いろいろな見方があるかと思いますが、抑えるか行かせるかの指示が曖昧だったところ、やはり池添騎手の騎乗ミスでしょう。残念ながら、弁解の余地は少ないと思います。

 気性の荒い馬で、巷では騎手交代の声も上がっていますが、僕はしかし、もう一度、池添騎手を載せてほしいと思います。実際、去年連勝をしたのはこのジョッキーのエスコートがあってのものだし、チャンスはもう一度あっても良いような気がします。


 一方、中山競馬場のほうは、皐月賞トライアルのスプリングステータスが無事に行われました。
 アグネスタキオン産駒のグランデッツァが、重い芝の上を実に爽快な足で駆け抜けました。これは来月の本番、ワールドエースのような豪傑を相手に伍しても、とても楽しみな存在であることを、満天下に示しました。

 人気薄で気づかなかったのですが、1月に新馬、若竹賞を連勝したバンザイも出走してきました。
 この名前でよく馬名審査を通ったな、と前から思っていました。

 いや、決して悪い命名だと思ったわけではないですが、何しろ過去にも同じ名前の名馬がいました。
 父ダイヤモンドウェデイング(Diamond Wedding)、母がサラ系の宝永のバンザイは、いまから98年前にデビューし、旧4歳から5歳まで計13戦11勝という素晴らしい成績を上げ、大正時代を通じての名馬というにはばかりません。

 手元の「日本の名馬」(サラブレッド血統センター)でも、(時代順ですが、)一番最初に取り上げたのが、そのバンザイ号でした。

【レース予想】今年はクリスマス決戦 2011有馬記念2011-12-20 23:16:21

 金に縁なき衆生にも年の瀬。と3年前もこのように書き始めましたが、なんだかんだ一年の締めくくり、例年通り、否応無く、今年も有馬記念がやってきます。

 例年通りでないのは、クリスマス決戦となった今年の有馬記念は、考えるだけで興奮してしまう、豪華絢爛なメンバーが出走を予定しています。
 ジャパンカップを快勝して改めて満天下に実力を示した女帝・ブエナビスタに、日本競馬史上7頭目の牡馬クラシック三冠馬となった若い英雄・オルフェーブルが挑戦する図式が、巷の好事者で囁かれています。しかしそう簡単に括れないのが今年の出走馬たちです。

 例えば、アーネストリー。夏の宝塚記念では現実にブエナビスタを斥け、エイシンフラッシュ、ローズキングダムと言った4歳の看板馬も従え、堂々のG1制覇を果たしていました。
 例えば、トーセンジョーダン。強敵を相手に一歩も引かなかった天皇賞、JCの走りは現在の充実さを物語っています。実は17戦9勝、何気に安定していて崩れません。去年の5着から前進があって当然の状態です。
 例えば、ヴィクトワールピサ。久々となったこの前のJCは凡走しましたが、東日本大震災で愁雲が日本を覆っていた3月、ドバイワールドカップ制覇の喜報を伝えたのはこの馬だったことを忘れてはなりません。それに去年の有馬記念の勝ち馬で、中山競馬場は大の得意です。
 例えば、エイシンフラッシュ。春の時点では史上でも最も層の厚い世代とまで語られた現4歳馬、まさかの全馬伏兵扱いに成り下がりましたが、逆襲がありそうな雰囲気が出ていて怖いです。なかでもこの馬、去年のダービー馬ですよ。軽視しないほうが良いでしょう。
 例えば、ヒルノダムール。例えば、レッドデイヴィス。例えば、ローズキングダム...

 どこから買っても、実はそれぞれ理屈が付けられてしまうひとかどでない強豪たちが、ずらりと並んでいます。

 もうこうなると、勇気と愛情と気迫で決めるしかないでしょう。

◎ オルフェーブル
○ エイシンフラッシュ
▲ ヴィクトワールピサ
△ ルーラーシップ


 
 引退レースとなるブエナビスタには、ありがとうと、お疲れ様の声を掛け、来年もエキサイティングな競馬が見たいという願望を込めての予想、もしくは理想です。

 波乱に満ちた一年と相成りましたが、終わりよければすべて良し、どうか冬枯れの芝を、どの馬も怪我なく完走してほしいものです。そのうえ、なんとか予想も当てて良い気分で新年を迎えられれば、こんなに嬉しいことはないです。

【レース予想】2009ダービー2009-05-31 00:41:29

 さんざん懲りたはずなのに懲りていなく、年々歳々馬があらたまって、またもダービーの季節となりました。

 忙しくて予備知識の蒐集に時間が掛けられなくなっても、未来のダービー馬探しから、なんだかんだ約一年分です。競馬キチの一年はダービーで終わるというので、熱くなっていることに変わりはありません。

 先見の明だったか、浅見の迷だったのか、答え合わせまであとわずですが、前売りの単勝一番人気は、言うまでもなくアンライバルドです。
 皐月賞ですでに本命に推し、レースでも期待に違わぬ力強い走りを見せてくれた、たぶん名前通り、天下無敵の豪傑です。

 しかし、こちらダービーで逆転まで期待したい馬が1頭います。
 青葉賞を勝ってきたアプレザンレーヴです。
 早めに抜け出して、並ばれてもう一度伸び出す内容は、将来の超一流馬の素質が見出されます。先物買いではなく、ここで買わないとすでに遅れてしまいそうな気がします。

 アプレザンレーヴの馬名はフランス語で「夢の後で(Après un rêve)」、だそうです。馬名にも縁を感じました(http://tbbird.asablo.jp/blog/2006/10/09/553642)。


◎ アプレザンレーヴ
○ アンライバルド
△ アイアンルック
△ リーチザクラウン
△ ナカヤマフェスタ
△ トライアンフマーチ
△ ブレイクランアウト


 ダービーのあと、夢が終わるかと言うと、打ちのめされないタフな馬キチたちは、きっとすぐにも来年のダービー馬探しに精を出すのでしょう。競馬キチの一年はダービーの翌日から始まるのです。