【頭の体操】考え直したほうが良いでしょうか?2012-04-18 17:49:46

 あなたは抽選によって選ばれた幸運な当選者です。
 しかし、それだけではほしい賞品にたどり着くはできません。本当に賞品獲得にふさわしいかは、さらに運が試されているところです。

 司会者があなたの目の前に、A、B、C、Dという4つの箱を並べました。このなかに1つだけ「当たりくじ」が入っていると説明してくれましたが、外観からはどれが当たりかを判断することができません。自由に1つだけ選んで良いと言われたあなたは、運を天に任せてAを指した、と、まず仮定しましょう。
 ここで、箱の中身を事前に見ていた司会者が、親切にもヒントをくれました。4択ではあまりに確率が悪いから、残ったB、C、Dのなかから1つだけ中身をお見せしましょう。と言いながら、司会者がDの箱を開けて見せてくれました。当然ながら、Dの箱には「当たりくじ」は入っていません(それはそうでしょう、「当たり」を見せたらゲームになりませんね)。

 さあ、変えるならこれが最後のチャンスです。
 最初に選んだAのままで良いでしょうか?それともBかCかに変えますか?

 これは、昔に見た映画のワンシーンです。
 たぶん有名な映画ではなく、残念ながらタイトルも後のストーリーも失念してしまいました。細かいシチュエーションも多少違うかも知れませんが、大まかな設定は以上のようなものです。


 論点を明確にするために、ここでゲームのルールを次のように若干変えたいと思います。

・4つの箱のなかの1つだけに100ドルが入っていて、後の箱は空です。
・ゲームを参加するためには参加費として35ドルを支払う必要があります。
・司会者はどこに100ドルが入っているかを知っています。
・ゲームの参加者がまず1つの箱を選びますが、選ばれた箱が「当たり」かどうかを示さずに、司会者は残った3つの箱のなかから、中身が「空」の箱を1つだけ開けて見せてくれました。

 設問は以下の2つです:
(1) 最初選んだ箱をやめて、選び直したほうが確率的に当たりやすいか?
(2) このゲームは参加者にとって有利なものでしょうか?(すなわち、何回も繰り返し参加できるなら、確率的に儲かりますか?)


 さあ、Aのままで良いでしょうか?それともBかCかに変えますか?

 映画の主人公はあっさりと、「では、Bに変更」と答えました。
 理屈は、以下の通りです:

 最初は4択問題だったので、適当に選んだAが「当たり」である確率は四分の一、つまり 25%です。
 B、C、Dの中に「当たり」がある確率は残りの75%ですが、Dは後に「はずれ」であることが確定したので、BとCが「当たり」である確率はそれぞれ75%の半分、すなわち 37.5%になる計算です。
 BかCかは確率に違いはないが、いずれにしてもAより高いので、BかCに変えるのは当然、というのがその説明です。


 ということで、設問(1)の答えは、Yesということになりましょう。

 設問(2)についても、1つだけ可能性を取り除いてくれたので、Dを除いた3択問題で、期待値は三分の一の約33ドルになり、参加費が35ドルでは計算上割が合わないと思えてしまいがちです。
 しかし、上の理屈だと、BとCの期待値は37.5ドルであり、数をこなせば、確率的には参加者が儲かる計算です。

 この答え、感覚的に、納得できますか?

コメント

_ 花うさぎ ― 2012-04-20 09:31:01

ダメです。私の頭では、納得するどころか、もう何がなにやら。

A、B、C、Dの中から一つ選ぶ前に、違うものをひとつ除外してもらえるのなら、確率は上がるような気がしますが、後から除外するなら、どうなんでしょう。
Aのままでも、BかCのうちいずれかを選び直しても1/3のように思えるのですけど。

最近、娘と「カイジ」という映画のDVDを見ましたが、あの中で出てくるカードゲームのルールも、何となく理解しそびれました。

私の場合、もともとこういう方面には理解力がないのだと自分で最初から思ってしまいます。
高校時代、数学の証明問題を勉強をしていて「●●となる。よって○○であることが証明された」と解答を見ても、どうして「●●」であると「○○」が証明されたことになるのか、わかったことがあまりありませんでした。
でも、家でそういう話をしても、夫も息子も娘も「普通はわかるものだ」というのです。Fujimotoさん、「普通はわかる」ものなのですか?

_ T.Fujimoto ― 2012-04-22 14:51:01

花うさぎさん、確かに直感ではAのままでも、BかCのうちいずれかを選び直しても、確率が変わらないような気がしてしまいます。調べてみると、これはモンティ・ホール問題と言うらしいです。確率論から導かれる結果を説明されても、なお納得しない者が少なくないジレンマの代表例です。
「ガイシ」は見たことがないですが、どういうカードゲームでしょうか?
「ライア・ゲーム」とかは、おもしろいと思う場合と、そうでもないと思う場合がありますけど。どっちの反応が「普通」なのかはわかりませんが。

_ 蓮 ― 2012-04-23 01:50:19

>この答え、感覚的に、納得できますか?
納得できないぼくが高校時代、数学で完全に落ちこぼれたのは勉強しなかったからではなく、才能が無かったからだと今後は認識をあらためよう。しかし落ちこぼれたのは数学だけではなく、英語も、歴史も、物理もみな落ちこぼれたしなあ。それが不勉強のせいではなかったとしたら・・・・・・。

_ T.Fujimoto ― 2012-06-01 22:26:12

蓮さん、せっかく頂いたコメント、見逃してしまい、申し訳ありません。
不勉強のせいかどうか、僕も反省しなくてはなりませんね(^^;)
ですが、相性の問題だと割り切ろうとしています。同じ人間で、生物学的には大差はないはず?です。いわゆる天才、秀才とは、ちょっとした向き不向きだとしておきたい気持ちです。

_ みうらさらー ― 2012-06-20 12:03:40

Dに当たりがないと分かった…という事は
Aに当たりが入っている確率もその時点で上がる筈ではないですか?

なぜDという選択肢が無くなったのに
Aの確率が25%のままなんですか?

だから(1)の答えはNOですよ。
A,B,C 全部33.3%です。

_ T.Fujimoto ― 2012-06-21 06:52:18

みうらさらーさん、おはようございます。

若干わかりにくいかも知れませんが、Aが当たりである確率が上がらないのは、Dという選択肢が無くなったのは、司会者による下記の操作が行われたためです。
「司会者は残った3つの箱のなかから、中身が『空』の箱を1つだけ開けて見せてくれました。」

不純物が一部取り除かれたのは「残った3つの箱のなかから」なので、確率が上がるのはBとCだけで、あえて対象外にされたAは、このタイミングで「空」であることが判明されることはないし、当たりの確率も変わらないですね。

箱が100個あって、司会者が途中で98個を取り除く変形ケースを考えてみても良いです。その場合、主人公が最初に任意に選んだ1つのAがたまたま当たりである確率は1%しかないですが、A以外の99個から98個のはずれを取り除かれた後の残った1つは、かなりの確率で当たりであるのは、感覚的に理解しすいかも知れません。

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