夏の風2009-03-07 10:48:08

 1986年暮れの香港で行われた、競馬の国際招待競走「香港ヴァーズ(香港瓶)」に、「風之歌」という馬が出走して4着に入りました。ほかでもなく、日本からの遠征したソングオブウインドのことであり、直前に菊花賞を勝ったばかりの3歳馬でした。
 香港でのレースを最後に、故障が判明して早々と引退して種牡馬生活に入りましたが、急死した偉大なエルコンドルパサーの後継として、ファンと馬産地から大きな期待がかけられています。

 ヨーロッパ競馬最高峰の凱旋門賞での2着など、生涯3着以下がなく、国際クラシフィケイションでは日本調教馬として史上最高の134ポンドが与えられたエルコンドルパサーですが、名前はアンデスの曲「コンドルは飛んでいく(El Cóndor Pasa)」から取ったものです。
 サイモン&ガーファンクルによってカバーされたことで日本でもよく知られたこの曲は、どうもオーナーの方が好きで、とっておきの駿馬にこのタイトルを付けたそうです。
 産駒の「風之歌」の名前も、この飛翔のイメージが継承されたかと思われます。

 ソングオブウインドの母は、メモリアルサマー(その母サマーワイン)ですので、歌われた風は、夏の風かも知れません。


 日本では、夏の土用中に吹く涼しい北風を「土用間」と呼んだり、台風に伴って海から吹く南東の風を「いなさ」と呼んだりします。

 7月と8月の東地中海、バルカン半島から吸収された空気が南下して暑いサハラに向かって吹く季節風は「エテジアン」と呼ばれているそうで、ギリシャ語で季節を意味する「エトス」に由来します。トルコ沿岸ではこれらの風は「荒くれ」を意味する「メルテメ」と呼ばれています。
 アラビア海では毎年6月から9月にかけて南西の卓越風が吹きます。夏の気怠さを吹き飛ばしながら、かつては沿岸諸国の海上貿易、交通に大きな影響を与えていました。


 「エル・コンドル・パサー」だけでなく、ナンシー・シナトラとリー・ヘイズルウッドの「サマーワイン」も名曲だそうです。

コメント

_ xing ― 2009-03-07 20:47:08

なつかしい!「サマーワイン」!リアルタイムで聞いてました。

_ why ― 2009-03-07 23:20:03

そういえば、貿易風という言葉もあったなと、大して本文と関係ないのに、なんだか読んでいるとあれこれ思い出してしまうんですよね。申し訳なくて・・・
そして、貿易風と言っても本当は貿易となんら関係なかったと、今調べて初めて分かりました。
ここにお邪魔すると、本当に勉強になります。

_ T.Fujimoto ― 2009-03-08 00:02:19

xingさん、リアルタイムで?
YouTubeで聞きましたが、若干低めの甘い歌い方は印象に残りましたが、さすがに時代を感じました。

_ T.Fujimoto ― 2009-03-08 00:16:41

whyさん、Trade風ですね。
本ブログ名の由来にもなった「モンスーン ワトソン博士のワンダーランド」で、ワトソン博士は「いわゆる貿易風は、実際にはそれほど貿易に適しているわけではない。」と書いています。「新航路の探検かなにかたまたま一方向にしか行かないのならともかく、ふううの商取引には輸出と輸入というように、授受がつきものだ」

しかし例外もあります。インド洋の「モンスーン」は貿易風の変形で、信頼も予測もできる、完全可逆な風のパターンを作っています。長い間、このモンスーンの秘密は、しかし限られたダウ船の船長たちにしか開かれていなかった...

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