春の風2009-02-27 23:32:08

 先週の金曜日は3時間、今週の水曜日は5時間、喋れもしない英語をむりやり長時間話し続けるのは、本当に疲れました。
 ときには、それこそまわりの空気さえ固まってしまう何秒間もかけて、ようやく絞り出した単語は、自分でも情けなくなるぐらい、へんてこりんなものだったりします。

 それにしても、まだまだ寒いですな。
 もうすぐ3月、そろそろ暖かくなってほしいものです。

 It's a warm wind, the west wind, full of bird's cries;
 I never hear the west wind but tears are in my eyes,
 For it comes from the west lands, the old brown hills,
 And April's in the west wind, and daffodils.
      ~ J. Masefield : "The West Wind"


 3月の後半にJRAにも東風(こち)ステータスが行われますが、「こち吹かば香おこせよ梅の花...」の歌で思い出されるように、日本に春をもたらす暖かい風と言えば東風です。
 イギリスでは、春の軟風は逆に西風ですね。

 話によると、西風ゼフュロスはトラキオス(バルカン半島の東)の山中に住み、嵐をかもし出すのを楽しんで、野蛮な権勢をほしいままにしていました。ところが、妖精のクロリスにうつつを抜かしたのが最後で、以来ゼフュロスは甘い香りのする優しい微風しか吹かず、泉を花のように咲かせたそうです。
 クロリスは死後、風の花すなわちアネモネとなり、以来ずっと風によって受粉し、また柔らかくて白い羽のついた実を微風に託しています。

 たぶん東風ステータスの1週間前かな、桜花賞のトライアル・レースにも指定されているアネモネステークスは、例年通りに行われるはずです。

コメント

_ 花うさぎ ― 2009-03-04 08:27:13

今このFujimotoさんの記事を読んで、長年の勘違いに気が付きました。

メアリー・ポピンズは、東風に乗ってやってくるわけですが、
私はそれを「春の風」に乗ってやってくるのだと思っていました。
今調べると、Fujimotoさんがおっしゃる通り、西風は春の風であって、東風は冬の風なんですね。

そう思うと、確かにツンツンしていてそっけないメアリー・ポピンズににあっているのは、冬の風のほうかもしれません。そのほうが、何か深い感じがしますね。

_ why ― 2009-03-04 22:44:43

私もこの記事を拝見するまで、イギリスで、春の軟風は西風だとは思いつきませんでした。目から鱗でした。
固定観念に囚われすぎたのでしょうね。

比較すると、中国の場合は、「不是東風圧倒西風、就是西風圧倒東風」、「万事具備、只欠東風」などの言葉があるように、中国語の東風は日本語より一歩進んで、常にプラスの意味に捉えられているようですね。時にはイデオロギーの色合いもあったりしますけれど。

寒い風というと、北風。飲むものはと言えば、西北風かな。ふふ、いつも思うんですけど、「喝西北風」よりは、日本語の霞を喰うのほうがずっと詩的で美しい表現ではありませんか。ところで、喝西北風という表現は台湾にもありますか。台湾はあまり「西北風」は吹かないでしょう。

今、ちょっと検索したら、「从蘇聯的情况看,只有西風才能帯来雨水,而東風只帯来干燥的空气,对农・要是老刮東風就麻煩了」という一文がヒットしました。ロシアはやはり西側だったのですね。

_ T.Fujimoto ― 2009-03-05 07:41:44

花うさぎ、風に乗ってやってくるメアリー・ポピンズ、東風だったのですか。
いま検索したら、確かに「冬の寒い日に東風に乗ってやってくる」とか「西風に乗って帰る」とかの表現がありました。

_ T.Fujimoto ― 2009-03-05 07:59:03

whyさん、寒い風と言えば北風なんです。いまは老残遊記にも引用された謝霊運の「北風勁且哀」を思い出しました。
地域による風向きの違いはいたしかたなく、ヨーロッパも南のほうにいくと、冷たくて厳しいのが北風であるようです。ギリシャ/ローマ神話でも北風の神(名前が思い出せません..)がそういう役割だったような気がします。
西風ゼフュロスも、本来はローマでは夏至に吹く風だったそうです。

「喝西北風」という表現は、もう古典になったせいか、台湾でも見かけます。ただこの場合、なぜ西北風でなければならないか詮索したこともなく、教えてください。
夏から秋の初め、午後に降る急な雨を「西北風」と呼んだりします。これはまあ、単ある気象現象ですが。

_ sharon ― 2009-03-05 09:00:38

>寒い風と言えば北風なんです。
北風小僧の勘太郎もあるしね。

_ sharon ― 2009-03-05 09:01:48

sorry!寒太郎です。

_ T.Fujimoto ― 2009-03-06 07:41:45

sharonさん、春がなかなか本格化せず、小田原では珍しい雪が降ったり、このぶんだと北風小僧の寒太郎、出番はまだ多少あるかも知れませんね。

_ why ― 2009-03-06 21:24:17

Fjimotoさんと花うさぎさんのおかげでまたひとつ開眼しました。
なるほど、喝西北風は古典だったのですね。ただの俗語だと見くびってはいけませんでしたね。
出典は呉敬梓の『儒林外史』第四十一回:“叫我men管山吃山,管水吃水,都象你這一毛不拔,我men喝西北風”だそうです。
手元にある本なのに、知りませんでした。

なぜ西北風なのかについて、こんなのがありましたので、参考になります。
http://zhidao.baidu.com/question/78879274.html?fr=qrl
中国語に「飢寒交迫」や、「朱門朱肉臭、路有凍死骨」などがあるのみならず、日本語にも「懐が寒い」という表現があるように、経済的な困窮と「寒い」は直結する傾向があるのですね。
おっと、やはり灯油売りはかけがえのない大切な存在です。

_ T.Fujimoto ― 2009-03-07 23:22:48

whyさん、こんばんは。
「喝西北風」の出典は儒林外史でしたか?知りませんでした。確かに西北風は冷たくてきつそうで、「飢寒」に結びつイメージがあります。
でもそうすると、霞を喰うとは、使う場面が近いものの、元の意味が全然違うのですね。霞を食べて生きていけないから、もう「喝西北風」しかない、とか。

ちなみに灯油は、火曜日のおじさんよりも、たぶん直接ガソリンスタンドで買ったほうが安いですよ(^^)

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