ゴダイバ夫人のチョコレート2007-11-30 00:39:36

 朝、出勤前にNHKのニュースをつけたら、高級チョコレート「ゴディバ」の製品に金属の異物が混入されているのが見つかり、商品の回収をしている、というニュースが流れていました。

 いま調べたら、ゴディバ・ジャパンのホームページ上にも、「お詫びとお知らせ」で出ています。


 ニュースそのものには、それほど興味があったわけではないですが、NHKのニュースで読まれて、改めてやっぱり「ゴディバ」だったのか、と気付かされました。

 実は、だいぶ前に、友人との雑談でこのチョコレートの話が出てました。
 話題そのものは失念しましたが、たぶん海外出張のお土産はなにかいいか、というような話の流れで、職場若い方で「ゴディバのチョコレートがいいじゃないか?」という声があがったかと思います。
 その場で、「それを言うなら、ゴダイバでしょう。」と余計なことに、僕が訂正してしまいました。

 僕は、この「GODIVA」は、ずっと「ゴダイバ」と読んでいました。

 ゴダイバ夫人とピッピングトムの話は有名ですし、チョコレートの包装紙などに描かれた図案は、どう見ても、馬に跨った裸のゴダイバ夫人をモチーフにしたように見えたためです。


 ところが、その場では「なるほど」と納得してくれた同僚が、翌日になって、「調べたら、社名はゴディバ・ジャパンとして正式登録されているよ」と、わざわざ教えてくれました。

 聞けば、日本の消費者の大半は、Godivaを「ゴダイバ」や「ゴダイヴァ」ではなく、「ゴディバ」と読むであろう、との予測に基づき、社名を決めたんだ、という説が有力だそうです。


 本当に消費者に分かりやすい名前だと思ったのでしょうか?
 僕は決して「原音主義」ではなく、むしろ翻訳に正確な発音は求められないだと考えているほうですが、このケース、すでに聖書やほかの書籍に「ゴダイバ夫人」と通訳されていたものを、無理にローマ字読みさせるのも、どうかなと思います。

 ゴダイバはただの英語読み、ゴディバのほうが原音に近い、という見地の元に、悪しき慣習を変えようとするなら、別ですが。

ふたたび翻訳の原音主義について2007-11-30 07:40:32

 昨夜の記事(http://tbbird.asablo.jp/blog/2007/11/30/2465299)で、僕はあまり原音主義ではない、と書いたのは、sharonさんから頂いたコメントの通り、翻訳の難しさを一応認識しているためです。


 佐藤正人さんの本で読んだだけですが、翻訳家の青山南に「ピーターとペーターの狭間で」という著書があるそうです。

 題名の由来は、
 「ある小説の登場人物を "ピーター"と訳していたら、途中でドイツ人だということがとつぜん判明してあわてて "ペーター"と訳し直した。ロシア人だと分かってたら "ピョートル" とでもしなけりゃまずいのだろう。」

 原音主義はかくして難しくて、やっかいなものですね。


 アイルランド・ダービーとキング・ジョージを勝った'90年代初期の名馬St.Joviteを、普通は「セントジョヴァイト」だと訳され、紹介されてきましたが、山野浩一先生あの記事で「サンジョヴァイト」と訳し、オーナーはフランス語系の人なので、この発音だろうと、わざわざ書いていたのを思い出しました。
 確かに競馬の世界、正式の命名者はオーナーなので、さすがに山野さんの説は一理ありますが、この馬はアメリカ産で、調教しているのはアイルランドのJim S.Bolger氏だったと思います。
 こうなると、関係者はどのように呼んでいるか、なかなか知るのは難しいですね。

 Prince Chevalierという馬がいましたが、プリンスシュヴァリエだと日本では訳されていますが、プリンスは英語読みで、シュヴァリエはフランス語読みなので、なんとなく座りが悪いです。
 プランスシュヴァリエなのかも知れません。
 オーナーはフランス語系の人ではなさそうですが、だからと言ってフランス語がしゃべれないと、だれが決めつけられるのでしょうか?


 ということで、あまり細かいことにに拘らずに、基本的に分かればいいかと思います。
 と書いてみたが、わからないぐらい違ってくる場合も、なかにはあります。
 
 前に、エイシンワシントンなどの父 Ogygianについて書きました(http://tbbird.asablo.jp/blog/2006/11/02/583426)が、競馬界では最近「オジジアン」という訳で落ち付いたようですが、初期は「オガイジン」という訳も目にして、最初は同じ馬のことを指しているのだとわかりませんでした。
 そもそも、僕は「オギュギアン」と読んでましたし。


 音訳ではなく、元の綴りのままで表記すればいい、という場合も多いですが、読者への要求が高くなり、やはり難しい場合が多々あります。

 Krzysztof Włodarczyk

 なんかの暗号だと思いませんか?
 先日「格闘野郎A」さんのブログで見たのですが、クリストフ・ウダルチャクと訳されている、ポーランドのプロボクサーでした。

 タイの選手になると、残念ながら僕には読んだところで頭に入らなく、識別もできません。そもそも印刷さえなかなか難しいかも知れません。
 

 趣味関係で、競馬と格闘技の例ばかりになってしまいましたが、結局のところ、やはり固有名詞の翻訳、通訳が難しい、それだけの当たり前の結論でした (^^;)


 中国語と日本語の翻訳、漢字というほぼ共通のツールが介在して、逆に話をややこしくする場合もあります。

 このへんは、このブログを読んでくださった方、詳しい方が多いと思いますが、またいつか書くかも知れません...