ふたたび翻訳の原音主義について2007-11-30 07:40:32

 昨夜の記事(http://tbbird.asablo.jp/blog/2007/11/30/2465299)で、僕はあまり原音主義ではない、と書いたのは、sharonさんから頂いたコメントの通り、翻訳の難しさを一応認識しているためです。


 佐藤正人さんの本で読んだだけですが、翻訳家の青山南に「ピーターとペーターの狭間で」という著書があるそうです。

 題名の由来は、
 「ある小説の登場人物を "ピーター"と訳していたら、途中でドイツ人だということがとつぜん判明してあわてて "ペーター"と訳し直した。ロシア人だと分かってたら "ピョートル" とでもしなけりゃまずいのだろう。」

 原音主義はかくして難しくて、やっかいなものですね。


 アイルランド・ダービーとキング・ジョージを勝った'90年代初期の名馬St.Joviteを、普通は「セントジョヴァイト」だと訳され、紹介されてきましたが、山野浩一先生あの記事で「サンジョヴァイト」と訳し、オーナーはフランス語系の人なので、この発音だろうと、わざわざ書いていたのを思い出しました。
 確かに競馬の世界、正式の命名者はオーナーなので、さすがに山野さんの説は一理ありますが、この馬はアメリカ産で、調教しているのはアイルランドのJim S.Bolger氏だったと思います。
 こうなると、関係者はどのように呼んでいるか、なかなか知るのは難しいですね。

 Prince Chevalierという馬がいましたが、プリンスシュヴァリエだと日本では訳されていますが、プリンスは英語読みで、シュヴァリエはフランス語読みなので、なんとなく座りが悪いです。
 プランスシュヴァリエなのかも知れません。
 オーナーはフランス語系の人ではなさそうですが、だからと言ってフランス語がしゃべれないと、だれが決めつけられるのでしょうか?


 ということで、あまり細かいことにに拘らずに、基本的に分かればいいかと思います。
 と書いてみたが、わからないぐらい違ってくる場合も、なかにはあります。
 
 前に、エイシンワシントンなどの父 Ogygianについて書きました(http://tbbird.asablo.jp/blog/2006/11/02/583426)が、競馬界では最近「オジジアン」という訳で落ち付いたようですが、初期は「オガイジン」という訳も目にして、最初は同じ馬のことを指しているのだとわかりませんでした。
 そもそも、僕は「オギュギアン」と読んでましたし。


 音訳ではなく、元の綴りのままで表記すればいい、という場合も多いですが、読者への要求が高くなり、やはり難しい場合が多々あります。

 Krzysztof Włodarczyk

 なんかの暗号だと思いませんか?
 先日「格闘野郎A」さんのブログで見たのですが、クリストフ・ウダルチャクと訳されている、ポーランドのプロボクサーでした。

 タイの選手になると、残念ながら僕には読んだところで頭に入らなく、識別もできません。そもそも印刷さえなかなか難しいかも知れません。
 

 趣味関係で、競馬と格闘技の例ばかりになってしまいましたが、結局のところ、やはり固有名詞の翻訳、通訳が難しい、それだけの当たり前の結論でした (^^;)


 中国語と日本語の翻訳、漢字というほぼ共通のツールが介在して、逆に話をややこしくする場合もあります。

 このへんは、このブログを読んでくださった方、詳しい方が多いと思いますが、またいつか書くかも知れません...

コメント

_ sharon ― 2007-12-04 03:00:58

記事をお借りいたします。

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