恐ろしいことは平気で起きる2013-03-29 21:55:14

 「恐ろしいことは中々起ってこないやうに見えて平気で起ってくるものである。勢ひと云ふものはどんなことでもやってのける。」

 大正13年七月号の「文芸春秋」に載っている、武者小路実篤の文章が、このような書き始めています。

 そして、以下のように続きます。
 「日米戦争なぞと云ふことも随分前から噂が立っていたが、今の勢ひでゆくとやりかねないやうに思ふ。常識的に考へても、亦深く考へてもとてもやれないことが、非常識家が多く馬鹿者が多いと平気でやってのける。その渦巻きにまきこまれたものはたまらない。」

 「......戦争は国を富ますものでなく、貧乏にするもので、この上貧乏したら日本はどうなるか。......日本の運命は今實に大事なときで、狂ひかけているのを感じる。之を喰ひとめ、よりいい方に導く力は青年の力だけである。」

 いまもって、いや、いまだからこそ読まれるべき文章、という気がします。

コメント

_ 蓮 ― 2013-04-08 08:40:40

武者小路実篤はぼくが文学を大学で専攻するきっかけを与えてくれた小説家で、高校時代に読みました。
いざ戦争が始まってしまうと彼の考えにも変化が見られるような文章も読んだ記憶がありますけれど、これはまさに正論ですね。

_ T.Fujimoto ― 2013-04-10 23:18:01

蓮さん、こんばんは。
確かに武者小路実篤は戦争協力が理由で例の公職追放の対象にされたようで、戦争賛成論者だと勝手に思ったので、この文章を読み、意外な感じがしました。時代や潮流が人の思想をも変えたかも知れません。

_ スマイル ― 2013-04-11 01:09:18

T.Fujimotoさま

 お久しぶりです。

 恐ろしいことを恐ろしいと思わないのはほんとうにこわいですね。

 スマイルもブログに書きましたが、根こそぎなにもかも破壊しつくすのが戦争です。そして勇ましいことを言う人ほど、戦場に行かないものなのです。

 戦争は国を富ますものではなく、国を貧乏にする。

 あらためてこころに刻みたいものです。

スマイル

_ T.Fujimoto ― 2013-04-12 07:54:42

スマイルさん、おはようございます。
仰るとおりで、そもそも痛ましい戦争には勝者は存在せず、いやでも人の生活を、こころをズタズタに壊してしまうと思います。

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