恐ろしいことは平気で起きる2013-03-29 21:55:14

 「恐ろしいことは中々起ってこないやうに見えて平気で起ってくるものである。勢ひと云ふものはどんなことでもやってのける。」

 大正13年七月号の「文芸春秋」に載っている、武者小路実篤の文章が、このような書き始めています。

 そして、以下のように続きます。
 「日米戦争なぞと云ふことも随分前から噂が立っていたが、今の勢ひでゆくとやりかねないやうに思ふ。常識的に考へても、亦深く考へてもとてもやれないことが、非常識家が多く馬鹿者が多いと平気でやってのける。その渦巻きにまきこまれたものはたまらない。」

 「......戦争は国を富ますものでなく、貧乏にするもので、この上貧乏したら日本はどうなるか。......日本の運命は今實に大事なときで、狂ひかけているのを感じる。之を喰ひとめ、よりいい方に導く力は青年の力だけである。」

 いまもって、いや、いまだからこそ読まれるべき文章、という気がします。