青春の影と光2012-07-18 22:37:34


 上の写真、シンディ・シャーマンの作品(Untitled #96、1981年)です。
 シンディ・シャーマンは1954年生まれ、セルフポートレイト、つまり作者自身を被写体にした写真作品を、多く残している写真家、美術作家です。

 この写真のなか、彼女の手が握っているのは、求人広告雑誌を切り取ったものらしいです。多少想像力を働かせば、都会に出てきた女の子が、思うように仕事を見つけられずにぐったりしてしまった、という情景を思い浮かぶこともできそうです。なんだか、悲しげな目をしています。

 しかし僕などから見れば、この悲しげな目さえも、ちょっとばかりまばゆくて、まぶしいものです。
 ちょっとしたことですぐに落ち込む青春時代は、一方で、未来への希望もたっぷり含んでいます。思い通りに行かないことは多々ありますが、決して諦めず、You can never never surrender! と歌い上げられるのも、若者の特権です。


 Corey Hartが歌う「Never surrender」を、僕が感激して聞いていたのは高校時代。なにくそ、頑張るぞ、と奮起したいときに口ずさみ、自分自身を鼓舞していました。
 

 その結果でうまく行ったかどうかは、すでに記憶にないです。
 絶望的に思えていたりしても、決して絶望的でなかったことだけは事実です。物質的に成功したというよりも、精神的には成功したつもりです。


 ちなみに、上のシンディ・シャーマンの写真は、昨年のとあるオークションで、3億1500万もの世界一の高値がついたそうです。彼女は物質的にも成功したようですね。

コメント

_ ゑこう ― 2012-07-19 01:00:15

「青春の影と光」であれっと思った自分は、一世代前なのかもしれませんね。
自分の世代は、「青春の光りと影」でしょうか(笑) 
思い浮かべるのは、ジョニーミッチェルの方なのでした。
記憶が定かでなかったので、ググったらジュディー・コリンズが唄うBoth Sides Now
がYouTubeにありました。懐かしかったです。☆ゑ

_ 花うさぎ ― 2012-07-19 14:31:32

「求人広告を握りしめて、悲しい目の少女」なんて、
ものすごく身につまされます。
私が就職活動をしたころは、女子にとっては「短大出なら大歓迎されるけれど、
四年制大卒だったら足が棒になるくらい探し歩かなければ就職先がない」と言われた時代でした。
今も就職戦線はたいへんに厳しく、うつになる学生が続出しているらしいですね。
どうしてあの人が合格したのに、自分がダメだったのかとか、
こんなに世の中には働いている人が多いのに自分はどこにも必要とされていないのかなどいろいろと考えていたら簡単にうつになりそうです。

私にとっては、「まぶしくもまばゆくもない」忘れてしまいたい思い出です。
Fujimotoさんのように人間ができていないせいでしょうか。

_ T.Fujimoto ― 2012-07-21 22:44:15

ゑこうさん、こんばんは。
すみません、まったく取って付けたような、いい加減なタイトルでした。
ジョニー・ミッチェルは聞いたことがありますが、ジュディー・コリンズはまったく知りませんでした。一世代前なのか、半世代前ぐらいかも知れません。

_ T.Fujimoto ― 2012-07-21 22:52:46

花うさぎさん、こんばんは。
決して私のほうが人間ができているわけではないでしょう。
恵まれた部分もあったかも知れませんが、ぐだぐだに打ちのめされたときがあったのも事実です。但し、都合の良い記憶をしていて、いまとなってはメランコリックな甘美性がより強く残っているような気はします。

_ 蓮 ― 2012-07-26 09:29:09

息子が就職戦線の渦中でもがいています。
彼が先週末、大阪から上海に来て、少し話し合いました。

_ T.Fujimoto ― 2012-07-27 22:31:31

蓮さん、世の中のこの景気の悪さで、就職はいよいよ大変ことになってしまっています。本当なら学生の本職は勉強、就活ばかりに時間を取られたくない気がしますが、現実問題ではそうもいかないでしょうね。
僕の世代、そういう意味では運がよかったのです。ぎりぎりバブルの最後、薦められた一社だけ受けて、気に入ってそのまま入社したので、戦線ならしいものは結局まったく見ていませんでした。おかげて、いまの若者にはアドバイスができませんが。

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