ロンドン・オリンピック2012-07-02 06:28:08

 開会式まで4週間を切り、ロンドンオリンピックは徐々に盛り上がりを見せ始めています。


 いまから64年前、第二次世界大戦後初の、第14回オリンピック大会は、やはりロンドンで開催されました。
 当時、「フジヤマのトビウオ」と呼ばれていた水泳の古橋を擁し、敗戦国日本も参加を希望していましたが、無情にも国際オリンピック委員会からはねつけられました。

 戦争中に政権交代していたイタリアは参加が認められました。日本は1940年の東京オリンピック開催を返上し、ドイツは1939年にポーランドに侵攻して代替となるヘルシンキの開催を事実上不可能にしたことから、両国への参加非承認はそれらに対する懲罰的な意味合いも大きかったとされています。

 半藤一利の著書を読むと、もっと生々しいです。
 「IOC委員の多数は、日本およびドイツの軍人たちのおかした残忍な行為に対して、憎悪と恐怖の念が深い。委員の多くは、その子、その孫、および友人が重い苦しみを味わい、餓死するのも見た。こういう忌まわしい心の傷を癒やすのは、ただ時の経過を待つほかはない。」と言われました。
 無謀な戦争に突入した代価のひとつだと言うしかないかも知れませんが、世界の人々の厳しいまなざしを感じずにはいられない瞬間だったのでしょう。


 翌年に迫っているのに、なかなかはっきりしなかった第15回ヘルシンキ・オリンピックへの参加は、昭和26年5月6日にオスローのIOC総会でようやく決定されました。
 日本の参加が許された、と朗報が来ましたが、爆竹も花火もなく、「これでやっと日本も国際社会に仲間入りができた、のか」と、ある選手が重々しく呟きました。