間違いではないかも知れませんが2011-10-21 23:56:53

 記録的な円高という逆境を「サカ手」に取って、攻めの経営に転じよう、とテレビから聞こえましたが、この「逆手」は、「サカ手」よりも「ギャク手」と読んだほうがしっくりくる感じがします。
 「サカ手」は、刃物の柄を小指が刃の方になるように握ることで、「ギャク手」は、相手の腕の関節を逆に曲げる柔道などの技です。相手の攻撃を利用して逆にやり返すイメージが湧くのは、後者のほうかと思います。

 「辟易とする」、「辟易な話題」、という使い方を時々聞きますが、これもどうもいまひとつ耳に馴染みません。「辟易する」なら別に違和感はないですが。
 いずれにしても古風で意味が晦渋なくせに、意外によく使われる言い方になっています。

コメント

_ 花うさぎ ― 2011-10-22 08:08:44

私も「さかて」、「ぎゃくて」は、気になっていました。
「さかて」って、刀などを上から振り下ろすようにして突き刺す時などに持つ持ち方ですよね。とすると「さかてにとって」では、まずいような気もしますが、
結構、使われているのでそれでもよいのかとも思っていました。

私が今、気になっているのは、「重複」です。
これは「ちょうふく」と読むとばかり思っていたのですが、
結構「じゅうふく」と読まれているのです。
中国語で「ZHONG」は「じゅう」、「CHONG」は「ちょう」に対応するのだとすれば、これは「重複」は「CHONGFU」だから、「ちょうふく」となるはずですよね。

もうひとつ気になるのは、とすると「重慶」は「CHONGQING]だから「ちょうけい」となるはずなのに「じゅうけい」と読まれていることです。
「よろこびが重なる」のではなくて、「重いよろこび」では、何ともシュールではありませんか。

_ 花うさぎ ― 2011-10-22 08:17:53

とすると、「問鼎之軽重」も、日本語では、「かなえのけいちょうをとう」と読みますけれど、これも意味からしたら「けいじゅう」にならなければなりませんよね。

もし、学校の試験に問題が出たら「けいちょう」と書けないと間違いになりそうです。

_ sharon ― 2011-10-22 16:26:48

名字の葛野もかくのと発音すればいいと思います,くずのに決めたのはなぜだろう ?

_ 中国蘭迷 ― 2011-10-22 22:00:49

はじめまして
いつも興味深く読ませていただいています。

手をギャクにするのとサカサにするのでそういう使い分けがあるとは知りませんでした。
切腹するときはサカ手なんですね。
「重」の「ジュウ」と「チョウ」の読み方の違いも単に日本に伝わった時期と発信地の違いかと思ってたら、今、漢和辞典を調べたら確かにほとんど「ジュウ」は「重い」の意味で、「チョウ」は「重なる」の意味で使われているんですね。
とすると「重箱」は「チョウバコ」と読んだ方が・・・?

私が気になっているのは北京、南京の「京」を「キン」と読んだり香港を「ホンコン」と読む読み方は日本語にも中国の普通話にもないしいったい何語なんだろう?ということです。

_ 中国蘭迷 ― 2011-10-22 22:47:11

葛野(クズノ)さんはきっとご先祖が葛(クズ)が生い茂る野っ原に住んでいたのではないでしょうか?
京都市の西の方に「葛野大路」という通りがありますがこれは「カドノオオジ」と読みます。
同じ漢字表記でも読み方がいろいろあってややこしいですね。
人名や地名の「谷」も一般に西の方では「タニ」と読み東では「ヤ」と読むことが多いです。関西では渋谷をシブタニ、熊谷をクマタニと読むことが多いです。

本題からそれてしまってすみません。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-23 07:54:53

花うさぎさん、「重」を「チョウ」(漢音)と読むか「ジュウ」(呉音)と読むか、下で中国蘭さんが書かれたように、日本に伝来した時期に関連すると、僕もどこかの本で読んだことがあります。「おもおもしい」という意味から来る言葉でも「丁重」、「自重」は「チョウ」の読み方を使ったり、決まったルールはないように感じますね。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-23 08:07:33

花うさぎさん、「軽重」については、「ケイ」は漢音なので、「ケイジュウ」よりも「ケイチョウ」が読みやすいような気がします。「軽忽」のように「キョウ」を読む言葉はあまり流行らなかったようですが。
昨夜のニュースでも気になる言葉を聞きました。映像のなかで、細野原発担当大臣は「早急(ソウキュウ)に検討します」と言っていたのを、NHKのアナウンサーは「早急(サッキュウ)に検討する、との方針を示した」と報じました。漢音か呉音かの話ではないようですが、これも両方の発音を耳にしますね。「サッキュウ」のほうが多いような気がしますが。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-23 08:18:21

sharonさん、葛野さんは「カドノ」さんかと思いましたが、「クズノ」さんとも読みますね。
葛城は「カツラ」木、葛井は「カツ」木、葛原は「クズ」原、甘葛は甘「ズラ」、葛野は「カド」野、だったらしますから、人名や地名の読み方はとにかく難しく、ハイ、諦めています。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-23 08:26:32

中国蘭迷さん、おはようございます。
北京、南京の「京」を「キン」と読むのは確かに不思議ですね。ウィキペディアを見ると、中国南部の方言の唐音に由来する歴史的な読み方だそうです。確かに英語でも古い文献だと「Peking」だと表記するものみ目にすることがありますね。
中国語では普通語以外、閩南語(台湾語)かわからないですが、「京」はk音で、「キン」に転じも不思議ないかも知れません。

_ 花うさぎ ― 2011-10-23 12:34:11

はあ、そうなんですか。そういえば、呉音と漢音の違いだという話も聞いたことがありような気もします。

それはそれで、「漢音」や「呉音」には、
ChongやZhongのような使い分けがなかったのかという疑問も出ますし、
傾向としては、「ちょう」→「重ねる」、「じゅう」→「重い」のおおよその使い分けがあるようなので、「重ねる」の意味で重が使われる言葉と「重い」の意味で重が使われる言葉がそれぞれ別に時代に集中的に伝わったのかという疑問もありますよね。

まあ、それはともかく中国語の読みについては、今もあまり規則性がなく適当に使われている面もありますよね。
「李香蘭」の芝居でも、どうして「香蘭」は「こうらん」なのに、「玉林」は「ユーリン」なのかなと思ったし、中華料理やのメニューには、「紹興酒」は「しょうこうしゅ」で、「杏露酒」は「しんるーちゅー」になっているし、どうして「北京」は「ぺきん」で、「上海」は「しゃんはい」で、「厦門」は「あもい」なのかとか。

そういえば、うちの息子は小さい時に、「どうしてHONGKONGはホンコンなのに、KINGKONGはキンコンじゃないのか」と言っていました。
確かに「KINGKONG」は「キンコン」と聞こえますよね。

_ 蓮 ― 2011-10-24 15:30:29

話をそらしてしまいますけれど、ぼくは「視座」という言葉が嫌いです。大学のときに敬愛していた先生が嫌いだと言っていたのが心にのこり、影響をうけたわけです。「生きざま」という言葉も嫌いですけれど、それは場合によっては許せる気分になるときもあり、「視座」ほど毛嫌いしているわけではありません。

_ 花うさぎ ― 2011-10-24 21:39:18

>大学のときに敬愛していた先生が嫌いだと言っていたのが心にのこり、影響をうけたわけです

私も同じ理由で、「いまいち」という言葉がきらいです。
恩師が言うまでもなく、「いまいち」なんて「マジ」などと同様に品がない言葉だと思うのですが、結構、市民権を得てしまいました。私は今でもわざわざ「いまひとつ」と言っていますが、そういう言い方のほうが廃れてきてしまったようです。

「生き様」という言葉も違和感あります。
「そのざまは何だ」とか「ざまあみやがれ」などという品のない言葉と通じているように思えて、まともな文の中では使う気になれません。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-24 22:09:08

中国蘭迷さん、こんばんは。

>人名や地名の「谷」も一般に西の方では「タニ」と読み東では「ヤ」と読むことが多いです。

なるほど、地域の違いによって傾向が分かれる場合もありますね。
確かに僕の知り合いにも、大阪のイケタニさんと、神奈川のイケヤさんがいます。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-24 22:52:27

花うさぎさん、呉音、漢音、唐音など異なる読み方が日本に入ってきただけでなく、たぶん中国でも同じ漢字に複数の読み方が並存したり、地方によって統一していない時代があったのではないでしょうか?
話を聞くと、俗に「破音字」と呼ばれる一字多音の多くは、古人が「仮借」したり、誤用したり、複数意味がある漢字をあえて読み方を変えたりすることに由来するそうです。「重」をChongとZhongに読み分けるのは、後世になって整理した結果かも知れません。
台湾では政府の「教育部」で「国語一字多音審訂表」を審議し、複数発音の文字を四千字あまりにまとめて発表していますが、大衆の使い方と異なるものがいろいろあるため、制限を緩めたり変更したりしながら、なお議論を呼んでいるようです。(例えば、「騎」をqi2に統一し、「液」をye4に統一したりしているくだりは、反対意見が大勢を占める模様)

_ T.Fujimoto ― 2011-10-24 23:27:49

花うさぎさん、HONGKONGがホンコンでKINGKONGがキンコンでないのは、子供でなくとも戸惑うかも知れませんね。
英語のngは通常軟口蓋鼻音の[ŋ]と発音しますが、子音の前に位置するときに[g]音が復活しますので、KINGKONGはたぶんキングコンに近いですね。HONGKONGはなに語から来たかはわかりませんが、英語ではなく、このルールによらない、ということでしょうか?
と言ってもアメリカ人の多くはHONGKONGを見たら、[hoŋgkoŋ]と読むような気がしますが(スペイン語だとjon konに近い読み方らしい?)

_ T.Fujimoto ― 2011-10-24 23:50:40

蓮さん、「生きざま」は比較的に新しい言葉だと思いますが、遠藤周作など嫌がる人が多いようです。
いま検索して出てきましたが、「新明解」の第4版では「その人の、人間性をまざまざと示した生活態度。 〔「ざま」は、「様」の連濁現象によるもので、「ざまを見ろ」の「ざま」とは意味が違い、悪い寓意(グウイ)は全く無い。一部の人が、上記の理由で、この語をいやがるのは、全く謂(イワ)れが無い。〕と、過剰とも取れる弁解を入れているところが、却って変な感じがします。

「視座」もたぶん元々は社会科学で専門用語として使われ、いつの間にか広がってしまったそうです。viewpointを「視座」と訳すのは、「観点」や「視点」ではダメな理由があるのでしょうか?

_ T.Fujimoto ― 2011-10-27 07:57:26

花うさぎさん、確かに「いまいち」よりも「いまひとつ」だったような気がしますが、前者もだいぶ使われてきて、なんだか違和感がなくなりました。特に子供ができてから、子供たちで喋る言葉をよく聞き、僕も時々使うようになりました。
ドイツ人の日本語学者が、ドイツ人に日本語を教えていて、年齢の数え方を、ヒトツ、フタツ......と数えたら、聴衆の中にいた日本人が突如立ち上がり、ヒトツ、フタツと言わない、一才、二才......と数えるのだ、と抗議したそうです。30年前の話ですが。
むかしの小学校では、イッサイ、ニサイは馬みたいでおかしい、と教師が子供たちの言い方を直していたそうですが、いまではそれを味気ないと思う人が逆に少なくなったかも知れませんね。

_ 中華浪人 ― 2011-10-27 12:03:00

中国人です。
先生は日本人ですか?中国人ですか?
中国語本当にお上手ですね。
僕が日本語猛勉強中ですが、日本語の語順が難しいですね。

_ T.Fujimoto ― 2011-10-27 18:59:51

中華浪人さん、はじめまして。
先生とは......え?ワ、ワタシですか?いいえ、とんでもないです。台湾生まれの日本人ですが、先生と呼ばれるような職業に就いたことはございませんので。

中華浪人さんの日本語こそ、たいへんお上手です。母国語でない言語を学ぶうえ、多少の困難はどうしても伴いますが、ぜひ頑張ってください。

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