ピカ・ピカの能力2011-01-22 01:03:50

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 グーグルで「田中邦衛」の画像を検索すると、上の絵が出てきました。
 本当は近頃ハマっている、尾田栄一郎のマンガ「ワンピース」の登場人物、ボルサリーノ大将(通称黄猿)です。
 むろん見ての通り、ちょっと前の田中邦衛をモデルにしているに違いないですが、なにしろ海軍最高戦力である三大将のひとりで、悪魔の実でも最強を誇るロギア系、「ピカピカの実」の能力者であります。

 この「ピカピカの実」の能力は凄まじく、敵の攻撃を透かし、無効化させたり、光の速さで蹴りを入れたり、指先から強力なレーザー光線を発射したりと、とんでもなく恐ろしいです。
 黄猿の必殺技のひとつに、「八咫鏡(やたのかがみ)」というのもありまして、両手を体の前に合わせて発光する鏡を作り出すと、鏡から出る光の軌跡に沿って、自身が光の如く超高速移動できるという、これまた誠に便利な技です。

 八咫鏡はむろん知られるように、本来「三種の神器」のひとつです。ほかのふたつ、八尺瓊勾玉と天叢雲剣もちゃんと黄猿の技にあります。

 鏡の武器と言えば、アルキメデスの話のなかには凹面鏡を使って、攻めてくるローマ軍の船を焼き尽くす、という伝説があります。ディスカバリーチャンネルの「怪しい伝説」で取り上げられた回はたまたま見たのをいま思い出しましたが、おもしろかったです(失敗しましたが)。
 機動戦士ガンダムのなかのソーラ・システムも、もしかして同じようなものでしたか?もちろんもっと大規模で、それに宇宙空間のなかにあるために効果が大きいかも知れませんが。

 鏡と言えば、鏡に映った姿を自分と認識できることがいまわかっているのは、人間、類人猿、イルカ、象、そしてなぜかカササギだそうです。(http://slashdot.jp/science/article.pl?sid=08/08/22/0826210

 カササギは鳥類のなかでも大きな脳を持っているという特徴があるそうで、そのぶん、頭がよいかも知れません。

 英国では野生のカササギのさえずりが災難の到来を警告する、という話をどこかで読んだことがあります。スコットランドでは不吉どころか、悪魔の鳥と呼ばれているくらいです。
 しかし、東アジアでは逆です。カササギは韓国の国鳥(もしくはソウルの市鳥?)、中国でも「喜鵲」と表記されているように、「七夕」の伝説のためか、「めでたい」イメージが強いと思います。

 蕭紀の「詠鵲詩」があります:
 「欲避新枝滑,還向故巣飛。今朝聴声喜,家信必応帰」。
 声を聞いて喜ぶのですから、やはり吉兆として捉えていたのでしょう。

 カササギではなく、カラスのほうが不吉な鳥とされたりします。しかし、カササギも実際はカラス属なので、生物学的には近い種類です。運不運は紙一重、ということでしょうか?

 ロッシーニに「泥棒かささぎ」という有名なオペラがあります。不運なヒロインが冤罪に陥れられていましたが、銀のスプーンを盗んで行った真犯人が、実際はカササギだったという話です。
 カラスもカササギも、けばけばしい派手な物、光る物を、好んで盗む癖があります。

 だから、カササギの学名をピカ・ピカ(Pica pica)と言うんだ、と納得したところ、日本語がわからない外国人には基本的に通用しないと思います。

コメント

_ 花うさぎ ― 2011-01-22 09:17:41

>カラスもカササギも、けばけばしい派手な物、光る物を、好んで盗む癖があります

私の母も、ある年齢から、やたらと「けばけばしい派手な物、光る物を」好むようになりました。ま、「盗み」はしませんが。
最近、私が買ってきた服を持て、娘に「ママはおばあちゃんと好みが似てきた」と言われました。

カラスはともかく、実際のカササギについては、どんな姿をしているのか、とっさには思い浮かびません。(普通は思い浮かぶものなのでしょうか?)
百人一種の「かささぎのわたせる橋におく霜の…」という和歌が、私にとって、カササギに関する知識のすべてです。

_ 花うさぎ ― 2011-01-22 09:21:18

カササギの画像を検索してみてみました。
見たことがあるような、ないような。
見たことがあるような気がするのは、「パトカー」に似ているからでしょうか。

_ T.Fujimoto ― 2011-01-24 23:41:57

花うさぎさん、例の「魏志倭人伝」で「牛馬虎豹羊鵲はいない」と取り上げるぐらい、古代中国ではカササギが多くて、もしくは重要だったのですね。
「かささぎのわたせる橋におく霜の…」は、ですから、伝来した話を元にした想像だけ、かも知れません。素人目にも、とても良い歌ですが。

奥本大三郎の本を読むと、ニワシドリの仲間で、精巧な巣を派手な色を飾り立てる鳥もいるそうです。原色の木の実、金属やプラスチックなど人工で作り出したキラキラしたものが好まれるようで、「この鳥が乱婚性であることから発達したらしい」、「芸術の起源を示唆するようでもあり」とか、その後に妙な話が付いていますが。

_ T.Fujimoto ― 2011-01-25 00:04:31

花うさぎさん、パトカーですか (笑)
カササギは本州ではほとんど見かけません。ツートーンカラーで、パトカーというか、パンダかシャチみたいな鳥でしょうか(?) いや、よく見れば、微妙にキラキラした色調を混ぜているはずで、色使いのセンスは良いと思います。

_ 花子ママ ― 2011-02-08 21:33:58

ピカ・ピカ。
こちらでしたか、大変失礼しました。いただいたコメントを読んだ時にナンだろう?と思ったんです。春節の記事に初め 「鵲」を 「鴉」と書き間違えました。梅に・・・と入力したら即 「梅に鴉図」という変換がでたものをそのまま鵜呑み^^にして投稿して後になって読み返したところで気付きました。
でも縁起の悪いものとされる鴉にしてしまったのは、同じカラス属とはいえ、あまりにもカササギに失礼だったと反省しています。

_ T.Fujimoto ― 2011-02-11 00:15:41

花子ママさん、「梅に鴉図」は、検索したら、文化遺産の襖絵にありますよね。
なんだかおもしろそうな絵で、時間が取れたら調べてみたいと思います。
さて、カササギのほうも、ところ変われば「悪魔の鳥」と呼ばれることさえあるぐらいですから、カラスにされるぐらいでは怒らないのでしょう (^-^)

_ why ― 2011-02-14 10:18:25

>>この「ピカピカの実」の能力は凄まじく、敵の攻撃を透かし、無効化させたり、光の速さで蹴りを入れたり、指先から強力なレーザー光線を発射したりと、とんでもなく恐ろしいです。
 黄猿の必殺技のひとつに、「八咫鏡(やたのかがみ)」というのもありまして、両手を体の前に合わせて発光する鏡を作り出すと、鏡から出る光の軌跡に沿って、自身が光の如く超高速移動できるという、これは誠に便利な技です。

最近、一番笑ったのはこのくだりです。面白すぎ!!
こんなに真面目に丁寧に、端正な日本語で<ワンピース>を語るのって、ほかにお目にかかったことがありません。もう何回読みに来たことか。

_ 蓮 ― 2011-03-13 16:10:01

地震による被害はありませんでしたか。

whyさんが「面白すぎ」とおっしゃっています。
Fujimotoさんの文章がこの一篇にかぎらず面白く感じられるのはそこに巧まぬユーモアがあるからです。何かに夢中になっている人が発する、その人の意図しない、あるいは意図を超えたといったほうがよいかもしれない、滑稽味。珍しい個性だと思います。

_ T.Fujimoto ― 2011-03-14 13:48:04

whyさん、コメントチェックが漏れて、返信が大変遅れました。
マンガだろうと恐ろしいものは恐ろしいと普通に思って綴りましたが、面白がって笑って頂けるのなら、それはそれで一挙両得、うれしい限りです。
何回も来て読んで頂くほどのものでは、決してございませんが。

_ T.Fujimoto ― 2011-03-14 13:55:36

蓮さん、こんにちは。ご家族など、懸災した方はいませんでしょうか?
直接に大きな被害を受けた人は、たまたままわりにいませんが、幸いに、とは使えないぐらい、映像や文字から大変な情報がどんどん入ってきます。
元の生活に皆が戻るまでに長い月日がかかるかと思いますが、いつかきっと笑いが戻ってくる思いますし、一日も早い復興を望みます。

_ sharon ― 2011-03-17 20:37:24

鳥の名前がそんなに知らないですが、
カササギは知っていました、
牛郎和织女每年鹊桥相会时用的桥就是喜鹊搭的桥,
偶々日本語のテキストの中に「七夕」の話が出て、カササギをカラスよりも先に覚えていました。
ちなみに私は「鹊桥相会」の次の日に生まれました、
全然関係ありませんね。

_ T.Fujimoto ― 2011-03-20 08:32:34

sharonさん、七夕の架け橋を造るカササギの話は、日本でも古くから知られています。花うさぎさんが寄せて頂いたコメントにある「かささぎの わたせる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞ更けにける」の和歌も、むろんその伝説を底本にしているものでした。
「魏志倭人伝」に、日本にはカササギが生息してないと記述しているので、姿を見たこともなく、中国から伝来した七夕の話だけからカササギを知り、文学作品に残したかも知れません。
しかし、日本語のテキストにも織姫と彦星が登場していましたか?だいぶ前の話なのでしょう?よく覚えていますね。

_ ゑこう ― 2011-04-01 08:02:28

ご無沙汰しております。カメレスですが、誘われてお伺いしました。
いつから日本に生息しているのか知りませんが、カササギは佐賀県の県鳥で生息地が国の天然記念物 らしいですね。当方ブログで紹介している「PICA PICA」というベネズエラのワルツはなかなかロマンティックなのではありました。七夕のかけ橋をつくる、はじめて知りましたが、なんだかもう少し詳しく知りたくなるお話ではあります。ゑ

_ T.Fujimoto ― 2011-04-02 00:08:01

ゑこう様、こんばんは。カササギは佐賀県の県鳥ですか?本州ではあまり見かけないように、日本では生息範囲が狭いのでしょうね。
邪馬台国が九州にあったか近畿にあったかの論争がありますが、カササギが生息していないところだけ見れば、後者に分があるかも知れません(笑)
もちろん古代でもこの鳥の生息範囲はいまと変わらないのか、邪馬台国は九州にあっても佐賀県を含まないのか、単に魏志倭人伝の作者が見落としただけか、いまとなってはわからないから、いくらでも反論はできそうですが。

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