絵の中の姿2009-06-02 01:58:22

 一昨年、当ブログで「浮生六記」を取り上げことがあります(http://tbbird.asablo.jp/blog/2007/12/05/2473639)。

 Ayuo(高橋鮎生)の「絵の中の姿 2007」というアルバム(http://mora.jp/package/80328021/ZIP-0024/)を聞くと、 「絵の中の姿」1~4の曲があり、歌われているエピソードはその「浮生六記」に基づくものだそうです。

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< 絵の中の姿1 八つの頃 >


君とはじめて会ったときは
八つの頃だった
君と僕は同い年
近所の家の庭で
君の書いた歌を見せた
幸せになるには
繊細すぎる心を持ってた
と思ったが

その後にも
自分で編んだ服を着て
僕の前に現れて
いろんな歌を見せた
終わりかけないのも、たくさんあったが
それはだれにも習ってないから
君と話しながら共に学んで行こう
と言った

十四の時に
君が秘密に
お菓子を持って来た事がばれて
みんなに笑われたため
その後には
僕の前から身を隠すようになった

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< 絵の中の姿4 四十の時に >


四十の時に
君が重い病にかかった
寝たきりの君を治療のために
山につれていった
君を肩にしょいながら
舟で川を渡り
山を越えた

元気になったと思うと
急に倒れて
旅の途中申し訳ないが
と君は言いつつ
生まれ変わるまで、と言いながら
この世から去っていった

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 Ayuoは様々なフィールドで様々な音楽を作っている、才能豊かでユニーク方だと思います。

コメント

_ 花うさぎ ― 2009-06-02 09:28:42

>寝たきりの君を治療のために
山につれていった
君を肩にしょいながら
舟で川を渡り
山を越えた

これはいったいどういう状況なんでしょうね。
歌詞に感心するというよりは、身体能力に感心してしまう。

>幸せになるには
繊細すぎる心を持ってた

今思うと笑ってしまうことですが、私は思春期のころ自分のことをそう思っていたんですよ。
そのころ、シルビア・プラースの「ベルジャー」(当時は「自殺志願」という書名でした)を読んで、その主人公のように自分も若くして破滅するであろうとなぜか確信したのです。
だけれど、私は案外図太い人間だったらしく、その後、普通に就職して、結婚して、母となって、ふてぶてしいおばさんになりました。

たいていの場合、そんなものじゃないかなと思うのですが、本当に繊細な人というのもどこかにいるんでしょうねえ。

_ T.Fujimoto ― 2009-06-03 00:33:59

花うさぎさん、こんばんは。
「浮生六記」に基づくことを、作者はHPなどに書いていますが、実際の歌詞は「浮生六記」の話とは違っていて、インスパイアされている程度かも知れません。
病気の妻(陳芸)を背負う場面と言えば、巻三「坎坷記愁」の、「芸出巷数十歩, 已疲不能行, 使嫗提灯, 余背負而行。将至舟次, ......」のあたりでしょうか。

シルビア・プラースは、寡聞にしてまったく知らないですが、「自殺志願」のタイトルとは、あまり穏やかではないですね。
人生のなかに、しかし、そういう激情に浮沈する時期は確かにあるかも知れません。
その多感な時期をどのように過ごして乗り越えたか、あとの人生観、心のよりどころが決まるような気がしなくもないです...

_ なのはな ― 2009-06-06 10:47:19

Fujimotoさん、こんばんは。
Ayuoさんという音楽家のことは知りませんでしたが、音源を聞いてみると、とても独特な雰囲気を醸し出す歌を作っている方なんですね。この人、すごい!(笑)
静かな夜にヘッドフォンで聞けば、異世界にどっぷり浸れそうですね。
中原中也さんの詩をベースに、女性が歌っている数曲が特に好きです。九番<都会の夏の夜>と14番<東京祭り>。

>幸せになるには
繊細すぎる心を持ってた

う~ん、なかなか鋭い歌詞・・(笑)

_ T.Fujimoto ― 2009-06-08 07:43:04

なのはなさん、おはようございます。
この方、音と色の関係のワークショップとか、実験的な音作りにも精力的で、プログレという言葉が似合うミュージシャンですね。

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