人類の足跡2009-01-21 23:39:50

 人体の設計図と言われるヒトゲノムは、1991年に始まった「ヒトゲノム計画」により解読され、2003年4月の解読完了宣言を経て、2004年10月に完成版の論文発表が出されています。
 それによりと、人類には22,287個の遺伝子があり、そのうち約99.9%は全人類共通で、各個人で異なるのは残り0.1%だけのようです。

 当然血縁の近い人はより多く共通の遺伝子を持っているわけです。
 例えば、最近ではよく耳にするDNAでの親子鑑定、全ゲノムを解析するわけではないにせよ、数万円で、かなりの確率で鑑定できると宣伝されています。
 全ゲノム解析も、1990年では30億ドルだったのが、近頃ではどんどん値段が下がって、Knome社(http://www.knome.com/home/)では、個人の全ゲノム解析サービスを約35万ドルで販売しているようです。


 こういった個人の親子鑑定などとは別に、いろいろな民族、人種の遺伝子差を調べることによって、人類が地球上にどう広がっていったか、過去にどの民族がどう分かれてきたのか、その検証も進んでいます。

 その1つが有名な「National Geographic」が主導している「Genographic」です。
 検査料金込みで、キットは$99.95(送料別)です。(https://genographic.nationalgeographic.com/genographic/lan/ja/participate.html

 男性ならY染色体による父系調査か、ミトコンドリアDNA解析による母系調査かを選択し、女性はY染色体を持っていないので、ミトコンドリアDNA解析による母系調査のみですが、どっちにしても、数ヶ月後に結果が送られてくるようです。

 まだやったわけではないですが、これはおもしろいかも知れません。


 我々ホモ・サピエンスがアフリカで誕生し、その後アジアへ渡ったり、ヨーロッパに行ったりし、何万年をかけて動いていたと、いまのところでは考えられています。
 その話題になったとき、みんなが思い浮かべるのはリーキー一家やジョハンソンといった著名な人類学者かも知れませんが、遺跡、化石と想像力だけで考えるのではなく、明確に現在ある自分の体を証拠にして検証するのも、いいのではないでしょうか。

コメント

_ 月の光 ― 2009-01-22 12:16:53

調査の結果、
血の繋がり、血の呪縛が強まるのか?弱まるのか?
私はルーツより価値観に興味があります。

_ T.Fujimoto ― 2009-01-24 02:02:48

月の光さん、血の呪縛ですか。
National Geographicの調査ではわからないでしょうが、ゲノムを調査することによって、どのような病気になりやすいか、わかるそうです。データベースを整備すれば、将来は事故や伝染病などの影響を除く、およそ寿命まで予測できる可能性が高いそうです。

ですが、あなたはガンになります、治療法はないです。それでも知りたいか、ということですね。

_ 月の光 ― 2009-01-24 09:11:17

手相や星占いの健康運より科学的になる事は喜ばしい事だと思います。病気の可能性と同時にリスク回避のソリューションを示す事ができるでしょう。
しかし、犯罪者と共通する遺伝子があるとか、○○人だと思って××人を差別していたけど、遺伝的には××人だったとか。新しい差別が発生するのか?差別が無くなるのか?多様性と画一性のバランスの変化に興味があります。

_ why ― 2009-01-24 22:02:02

科学の進歩は本当にすさまじいもので、DNA関連の研究や技術が飛躍jしたのはほんのここ十年の間でしょうに、今どきのNDA鑑定は麻薬反応検査よりもお手軽にできるようになりました。
仕事柄、DNA鑑定するためのサンプル採取に立ち会うことがありますが、拍子抜けするほど簡単です。そして、ええ?こんなことにまで鑑定するの、と思うほど、この手法は浸透して、すでに一般的に利用されているようです。これから先はさらにどこまで進歩するか楽しみですね。

_ T.Fujimoto ― 2009-01-25 23:52:19

月の光さん、こんばんは。
オバマさんの米大統領就任演説の映像を見ながら、わずかに200年前に、黒人は人間とサルの間のどこに位置づけられるかの議論が、新大陸で盛んに交わされていたことを思い出します。
ひと世代25~30年だとして、家系図があれば、わずか500,600年前の先祖は2の20乗、100万人を超えますね。もちろん近親結婚とか、実際は登場する人数はもっと少ないでしょうが、相当な数に違いません。それこそ○○人も××人も、犯罪者ぐらいいくらでも含まれているかも知れません。
悠久の歴史を振り返り、差別することの無意味さは、明だと思いますけどね。

_ T.Fujimoto ― 2009-01-26 00:15:14

whyさん、お疲れさまでした。
DNA鑑定の技術は本当に日進月歩ですね。しかし個人の遺伝子鑑定よりも、人類全体の進化や歩みに、僕は興味があります。
文化を運搬する人間の移動が交差するとき、そこに文化の接触と交流も同時に発生します。この人文地理学と新しい分子人類学の出会いは、とても刺激で、これからの研究結果がおもしろそうです。

_ uedada ― 2009-01-26 12:29:09

uedadaでございます。
この場を借りまして、昨日はどうもありがとうございました。
ブログを通してお付き合いさせていただいている方々の中でも
Fujimotoさんはちょっとクールな物知りというイメージがあり、
ぜひお会いしてみたいと思っておりました。
そのイメージは外れていませんでした。
(お顔を遠くから拝見して"この人かな"と思ったくらいなので)
今後もよろしくお願い致します。

_ T.Fujimoto ― 2009-01-27 00:44:58

uedadaさん、昨日はお世話になりました。
ご参加されることを知らなかったが、お会いできて良かったと思います。
というより、あの「23區24小時」と「語句楽散歩」の作者、ブログ主ですから、光栄でした。
こちらはツール(アサブロ)もマイナーで、内容も統一性がなく、本当に適当に書いているだけですが、悪しからず、今後ともよろしくお願いします!

_ why ― 2009-01-27 09:22:37

ふふ、確かにuedadaさんがおっしゃるように、Fujimotoさんは物知りを顔に書いてあるような素晴らしいお方ですね。
せっかくですから、もう少し有意義なお話を伺いたかったのに、毎回、同じ質問しかしておらず、うんざりされたのではないでしょうか。大変失礼しました。
私の、Fujimotoさんのイメージは日ごろの話題と博識ぶりだからでしょうか、徐志摩や弘一法師のような、ちょっと古風なインテリって感じですね。でも、今改めてネットで徐志摩と弘一法師の写真を確かめましたけれど、顔はぜんぜん似ていませんね。となると、中から発散するオーラが近いのでしょうか。当然ながら、どちらも会ったわけではないので、感覚だけですけれどね。

_ T.Fujimoto ― 2009-01-28 23:53:22

whyさんまでもがふざけて書くと、知らない人が本当に誤解してしまう可能性がありますよ。
弘一法師はとても尊敬している人物ですが、そのオーラを、まさか僕が持っているわけはありません。

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