TPP交渉に日本は参加すべきか?2011-11-23 22:31:36

 とタイトルでは書いていますが、その答えをここで導き出すつもりはないです。紛らわしくてすみませんが、僕が書けるのはもっと単純な話だけです。

 それはそうでしょう。日本の国益で判断しようとすれば、経済素人の僕から見ても、とてつもなく複雑な計算が必要なはずで、専門家たちがいろいろ議論しながら容易に答えを出せないでいるのも、むべなるかな、です。


 但し一方で、人類全体の幸せを長い目で見れば、貿易等の障壁を低くしたほうが、なにかと便利で効率的だと思えます。

 原始時代、人々はほぼ自給自足の生活をしていましたが、経済の発展に伴い、分業化が自然に進み出してきました。食べ物を作れる人が食べ物を作り、それを運ぶ人たち、販売する人たちが現れてきます。絵を描ける人が絵を描き、それを印刷する人、流通する人が現れてきます。役割分担することで専業性が高まり、効率化が図れるためでしょう。
 僕は神奈川県の小田原市に住んでいますが、僕がいまの生活を継続するために必要なものすべてを、この小田原市内だけで作れるとは思えません。神奈川県全体で考えても難しいかもしれません。恐らく毎日いろいろな物資が県外から運ばれて来ています。どんなふざけた市長、県知事がいても、市益、県益のために、その物流に関税のような障壁を作らないだろうと、素人ながら考えます。
 国と国の間だとそうは行かない、そうは思わないのは、ほかの国の人を、この国にいる人間はまだ連帯感を持っていなく、信用できないからではないでしょうか?

 それを間違いだと決め付けるつもりはありません。
 進化の過程に存在しえる感情で、防衛本能が働くのも理解可能です。そういう意味でいろいろなタイミングの判断が確かに必要かも知れません。


 しかし、僕は小田原市民であり、神奈川県民であり、日本国民であるうえ、なにより地球で暮らす人類の一員です。
 大きな流れとして、人類の行動範囲が徐々に広がり、互いの利害関係は共通になってきています。こちらで汚染された水はあちらにも流れてゆくし、あちらで起きた戦争はこちらに住む人の知り合いを傷つけることもあります。
 地球温暖化、放射能汚染、地震、洪水......大多数の幸福を追求していくために、力を合わせて解決しなければならない問題が生じています。そのような大きな課題を、人類全員は叡智を合わせて解決していくべきだと思います。

 諸々の過程で、いろいろな軋轢が起きるのは想像できます。局面局面で利害関係が一致しないのも当然にあるのでしょう。しかし、徐々に人類は良い方向に進まなければならないし、進んでいると思いたいでし。基本的に、隣人が10を持って、自分が100を持っている世界よりも、隣人が300を持って、自分が200を持っている世界を、僕は好ましい、うれしいと思っています。
 なにしろ、手持ちが100も増えていますから。

コメント

_ 釈千手と申します ― 2011-11-24 09:55:12

わかりやすく、素晴らしい主張ですね。私も100%同感です。

_ 中華浪人 ― 2011-11-24 13:51:37

TPPに入るかは専門家の計算とか分析とかで政府から国の全局利益を目にして決断するべきです。農家は自分の私益だけを思ったら駄目です。
国民はよりやすく野菜や肉を買えば、何の悪いことになります?

日本語下手です、申し訳ないございません。

_ 花うさぎ ― 2011-11-25 09:04:42

日本の農業の問題点をそのままにして、
現状の農業を守り、
そのために工業品他の輸出の面で不利を被るのは、
大きな損失ではないかと思っています。

今現在農業をしている人が発想の転換や仕事の抜本的な効率化をただちに行うのは、
困難だし、痛みがともなうのは分かります。でも、そこを補いつつどうにかならないのでしょうかね。やっぱり農業人口の票は重いからどうにもならないのでしょうか。

私は「日本の食を守るために自由化反対」ということに対しては、疑問を持っています。20年前に牛肉の関税が引き下げられた時もそういう声がありましたが、
サクランボだって、牛肉だって、自由化以前には、庶民に手が届くようなものを日本の農家は作っていなかったわけだし。

_ T.Fujimoto ― 2011-11-28 22:46:44

釈千手さま、はじめまして。
文字にすると、若干理想論に見える内容となってしまいました。それでもご賛同して頂けたようで、うれしいです。もちろん実行に際して、克服しなければならないさまざまな困難が生じると僕も思いますが。

_ T.Fujimoto ― 2011-11-28 22:57:11

中華浪人さま、こんばんは。
自身の利益を中心に考えるのは、ある程度は仕方ないでしょうね。日本の農家の方々だけではなく、輸出に重みを置く産業界もそうですし、アメリカでTPPを反対する自動車業界も同じだと思います。
個人の利益、個人が所属する団体の利益、地域の利益、国の利益、全人類の利益、いろいろなレベルがあると思います。私利だけでもなく、国益だけでもなく、バランス良く総合的に考えられれば良いじゃないかと、なんとなく考えます。場合によっては、人類の利益に止まらず、動植物などを含めた地球環境の利害を考えなければならないかも知れませんね。

_ T.Fujimoto ― 2011-11-28 23:11:13

花うさぎさま、こんばんは。
現在農業に従事している方だけの問題ではないかも知れませんが、3ちゃん農業と呼ばれた時代から、日本の農業にはいろいろな問題を抱え、保護政策などにより、未解決のまま今日に至っているような気がします。「日本の食を守るために自由化反対」ということに対しては、僕も疑問を持っています。実際、日本人が食べるものを、いまも日本の農業は提供できていないですね。
それと、サクランボ、牛肉のケースとは多少事情が異なりますが、ウイスキーの関税引き下げのときも、焼酎はもう生き残れないだろうと言われたようです。結果はそうでもなかったようです。

_ 蓮 ― 2011-11-29 01:34:45

昔、安保闘争があったころ、深沢七郎が安保反対、安保反対というデモ隊の声を聞いて、餡子がどうしたのだろう、アンポとはアンコの入っていないアンパンのことだろうかと思ったという意味の、とぼけたことをどこかに書いていたように覚えています。ぼくのTPPに対する理解は安保問題を本当にアンパン問題として考える程度で恥ずかしいことですけれど、どうしたら日本が元気になれるかという方向で考えるべきだろうなとは思いますね。

_ 花うさぎ ― 2011-11-29 15:05:18

>TPPに対する理解は安保問題を本当にアンパン問題として考える程度で

私もそうです。
いろいろなことが書かれていますが、これまでの原発の問題と一緒で、どれにどのようなバイアスがかかっているのかよくわからないし、専門家でもない普通に報道に接するだけの私には、「こう」と言われれば「こう」、「ああ」と言われれば「ああ」と思えてしまいます。

_ T.Fujimoto ― 2011-12-01 07:53:28

蓮さん、どうすればみんなが元気になれるか、どうすればみんなが幸せになれか、ですね。
どこかのコラムで見ましたが、日本は今後国際社会でどういう役割を演じるか、そろそろ決めるべき時期になったそうです。中長期的に、今後しばらくは大国として振舞うか、地球上多くの小国の一員として今後はやって行くか、どっちが良いかではなく、どうしたいかの総意を出すべきだと書かれました。
ふーん、そういう捉え方もあるか、と思いました。

_ T.Fujimoto ― 2011-12-01 07:58:41

花うさぎさん、原発のときもそうでしたが、専門家も一部で思われたほど、何でも知っているわけではないですね。被曝線量の基準はと聞かれて、この部分は専門外でわからない、と正直に答えた原発の専門家もいましたが。
「こう」と言おうと思えば「こう」、「ああ」と言おうと思えば「ああ」、どうなるか誰もわからない部分が多いかも知れません。

_ つぼみ ― 2011-12-01 08:06:26

特に最後の[基本的に......]のわかりやすい結論に同感、拍手!

_ T.Fujimoto ― 2011-12-02 23:59:38

つぼみさん、こんばんは。
勢いで書いてしまい、だいぶ変な文章になってしまいましたが、拍手して頂き、ありがおうございます。

_ ze ― 2012-01-29 23:33:12

原則賛成、各論反対ってことになるのでしょうかぁ。

私は四国の片田舎で農家をしていますが正直言うと百姓はあまり賢くもないし誠実な政治ファクターでもないような気がします。

政策も理屈もなくただ農協や近所周りの顔色と目の前のにんじんの太さだけでせつな的に生きている。

誤解を恐れずに言えば衆愚政治の根幹の部分にいることでようやく日本の政府や政治家にアッピール出来ることを自虐的に楽しんでさえいる。

モット言わせていただければ日本中、この多数決正義に埋没して個人や自分自身の暮らしや趣味さえ見出せずにヒステリーさえ起こせずにうずくまってしまっているのではないでしょうか・

_ T.Fujimoto ― 2012-01-31 23:49:29

To: ぜ様
原則賛成、各論反対。はい、僕もそうです (^^;)
いや、勢いで書いてしまった文章ですが、各論にはとても展開できていない、ぼんやりとした考えだけでした。

仰った話で、古い洋画の「ローカルヒーロー 夢に生きた男」や、辻まことが書かれた「湖村譚」を思い出しました。後者の話には「村の知恵者」たちが登場して、魚が捕れないと発電所に賠償を求めたり、放置していた古丸太を東京の古美術商に売ろうと図ったり、無理やりずい道を開通させようとしたりしますが、「私はどうしてもこの湖村気質をキラうにはいかない。」と最後に作者は結びました。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://tbbird.asablo.jp/blog/2011/11/23/6212642/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。