凱旋門賞2014への挑戦2014-10-05 11:58:54

 ブローニュの森のセーヌ河畔側、長らく放置されていた細長い(ロン)草地(シャン)と呼ばれていた土地に、聖ルイ王の妹イザベル・ド・フランスが修道院を創設したのは、13世紀中葉です。
 やがてそのロンシャンに、1857年に競馬場ができました。
 大革命時代に修道院が取り壊されましたが、唯一残った風車小屋をバックに、世界初の本格的な国際レースとなる3歳戦のパリ大賞が創設されたのが1863年、古馬を含めたチャンピオン戦として凱旋門賞が新設されたのは1920年です。

 いまなお欧州競馬の最高峰に目されている凱旋門賞に、日本のホースマンたちは執念を燃やし、度重なる挑戦を続けています。オルフェーブルの2年連続2着を筆頭に、ヨーロッパ以外からとしては最高の実績を誇りますが、残念ながら頂点まではいま一歩届いていません。
 今年も日本競馬界から、なんと3頭ものチャンピオンホースが挑みます。
 キングジョージを勝って来た英国調教馬タグルーダが一番人気になっているようですが、経験的には、地元のフランス勢、それも伸び盛りの3歳馬が強いです。
 日本から来たチャレンジャーたち、中距離の世界チャンピオン・ジャスタウェイ、札幌記念を戦ってきた3歳牝馬のハープスター、古豪のゴールドシップ、はたして歴史的な快挙はなるのでしょうか?

 今夜の中継には、日本の競馬関係者、競馬ファンも釘付けになるのでしょう。

宝物2014-10-13 23:19:08

.
 みんな、誰もが心の中に「こどもの頃」という宝物を持っています。

 こどもの頃は、心がみずみずしいものでした。
 大人になっても、いくつになっても、こどもの頃を思い出すと、心がみずみずしくなるような気がします。

鮮魚商の売り口上2014-10-19 10:32:03

 「20世紀の遺跡」(現代風俗研究会編、河出書房新社)を読んでいますが、西村幹夫さんや三坂政美さんが採取した、戦後の鮮魚商の売り口上が収録されています。
 ほんの一部をメモしてきましたが、なかなかおもしろいです。


 「店は小店で小さいければ タイやヒラメの舞い踊りじゃいな」

 竜宮城ではありません。

 「抜けば玉散る氷の刃 五郎正宗の太刀じゃいな」

 きれいで活きが良いのはわかりますが、五郎正宗作の名刀ほどの切れなのか、ここの太刀魚は。

 「磯のアワビを九つよせて これが苦界の片想いじゃいな」

 アワビは貝殻が片側しかつかないので、九貝(苦界)の片面(片想い)だけが並ぶことになりますな。

 「カレイや彼ヶ 私の彼は 色は白くて器量良しじゃいな」

 左ヒラメの右カレイだと言うければ、私の私のカレイは~左利き、なんちゃって。

 「タコに骨なしナマコに目なし わしの懐にゃ金がないわいな」

 鶴見俊輔(「太夫才蔵伝 漫才をつらぬくもの」、平凡社)によると、ミヤコ蝶々は初舞台でこんな安來節を歌ったそうです:「♪タコにホネなし ナマコに目なし わたしゃ子供で色気なし」)

 「日暮のカラスは森を見てとまる 森は森でも鈴鹿森だっせな」

 日暮のカラスとは夕方の値切りセールを狙うお客さんを指しており、その目に留まった盛り(森)の魚は、鈴鹿森産だったようです。鈴鹿森は魚つき保安林です。

 「やけのやんぱち日焼けの茄子 せんちの火事でやけくそだっせな」

 叩き売りが始まりました。せんちは「雪隠」の転で、つまり便所です。火事になっても焼けたのは知れたものです。

 「伊勢は津でもつ津は伊勢でもつ うちの所帯はカカでもつわいな」

 伊勢音頭の「伊勢は津でもつ津は伊勢でもつ、尾張名古屋は城で持つ」の替え歌。魚はどこへ行ったのやら。

 「一口食べたら忘れられましょか かあちゃん質に入れマグロの刺身」

 その所帯とやらは、どうなってしまうのでしょうか?

 「須磨や明石や舞子の浜で 漁れたイワシじゃテテ噛むイワシじゃ」

 なるほど、イワシは元気が良くて人の手を噛むわけですね。この時代、売る人もみんな元気が良くて、威勢の良い歌は、噛まなかったのでしょう。