秘密の共有2012-10-08 23:00:34

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 複数個の錠前を掛けることで、セキュリティをより強固なものにすることができます。

 そうならない場合もあります。
 例えば、上の写真のように直列に繋ぐ複数の南京錠は、そのどちらか1つを開けるだけで、この施錠を解くことができます。
 この繋ぎ方、一見意味がないように感じますが、考えてみれば決してそうでもなく、ちゃんと使い道はあります。例えば、複数の管理人が存在し、管理者の誰でも扉を開閉できるようにしたい場合、それぞれが持っている錠を直列に連結すれば良いのです。


 では、ここに秘密のキャビネットがあるとします。Aさん、Bさん、Cさんの3人の管理者が存在し、ひとりだけでは勝手に開けさせないが、3人中任意の2人がそろったときは開けられるようにしたい場合、どのように錠を掛ければ良いでしょうか?

 解決案のひとつは、3人がそれぞれ2つの錠を用意する方法です。

   Aさんの錠は、(a1)、(a2)とします。
   Bさんの錠は、(b1)、(b2)とします。
   Cさんの錠は、(c1)、(c2)とします。
 並列に並べた(a1)と(b1)、(a2)と(c1)、(b2)と(c2)の3つの組を、直列に連結すれば、組み合わせに関係なく、ふたりがそろえば、キャビネットを開けることができます。

 「(2、3)しきい値スキーム」に相当します。
 それぞれ2つの鍵が付いている錠前を3つ((a)、(b)、(c))用意できれば、Aさんが(a)と(b)の鍵、Bさんが(a)と(c)の鍵、Cさんが(a)と(c)の鍵を持つようにしても、当然それでも良いです。

 それでも、例えば、もし管理人の数は11人、6人がそろったときにはじめて開けられるようにしたいなら、いったいいくつの錠と鍵が必要になるのでしょうか?
 「(6、11)しきい値スキーム」に相当しますが、計算した人によれば、キャビネットに取り付けなければならない錠前は少なくとも462個、11人の管理者がそれぞれ持ち歩かなければならない鍵は最低252個になるそうです。
 たったの11人だというのに、です。

 462個の錠を取り付けられるキャビネットは、一体どのようなものでしょうか?原始的な道具で解決するには、やはり限界がある、ということですね。

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