回文詩「四時」2008-04-08 23:56:13

 「剪燈餘話」(明・李禎)は、もうちょっとで読み終えますが、第二卷の「田洙遇薛濤聯句記」に出ている回文詩、なかなかおもしろいので、メモしておきます。


 田洙が出したお題は「四時」。

 薛濤が詠んだのは、

花朶幾枝柔傍砌 柳絲千縷細搖風 霞明半嶺西斜日 月上孤村一樹鬆
涼回翠簟冰人冷 齒沁清泉夏井寒 香篆裊風清縷縷 紙窗明月白團團
蘆雪覆汀秋水白 柳風凋樹晩山蒼 孤燈客夢驚空館 獨雁征書寄遠郷
天凍雨寒朝閉戸 雪飛風冷夜關城 鮮紅炭火圍爐暖 淺碧茶甌注茗清


 平仄について、どうもいまひとつよくわかってない(^^;)ですが、少なくとも前から後ろから、いずれも韻脚はきれいに揃えています。


 田洙が返したのは、

芳樹吐花紅過兩 入簾飛絮白驚風 黄添曉色春舒柳 粉落晴香雪覆鬆
瓜浮甕水涼消暑 藕疊盤冰翠嚼寒 斜石近階穿筍密 小池舒葉出荷團
殘日絢紅霜葉赤 薄煙籠樹晩林蒼 鸞書寄恨羞封涙 蝶夢驚愁怕念郷
風捲雪篷寒罷釣 月輝霜拆冷敲城 濃香酒泛霞杯滿 淡影梅橫紙帳清



 前から読んだときの韻脚は、薛濤の詩と同じ文字で合わせましたが、逆から読んだときは別の韻で終わらせています。

 遊び心が満載した、なかなかの労作です。

コメント

_ 花うさぎ ― 2008-04-10 10:24:56

すごすぎますね。
以前、WHYさんのブログでこの手のお遊びをなさっていたようですが、知的体力がない私には、とてもじゃないけれど、参加できませんでした。
回文どころか、「トマト」、「しんぶんし」くらいしか思い浮かばなくて。

音韻学は、大学で学びました。
しかも、頼山陽の末裔のさる高名な先生に。
でも、一回目の講義が終わるころには、落ちこぼれてしまいました。
今思い出しても悲しい思い出です。

_ why ― 2008-04-24 11:45:10

「剪燈餘話」、この本は何度も耳にしていますが、まだ一度も読んだことがありませんでした。
二首の回文詩をよく読むと、なんとなくコツが分かってきたような気がしませんか。
言葉を細切れにする。形容詞や、名詞を多用する。動詞は出来るだけ一箇所におさえる、色を表す言葉を多く取り入れる、などの手法が有効のようですね。
あは、これは面白いですね。Fujimotoさんの才覚なら、いくらでも作れそうではありませんか。

_ T.Fujimoto ― 2008-04-29 00:34:31

花うさぎさん。
音韻学は、僕にもどうもちんぷんかんぷんで、なかなか体が受け付けないものです。
ところで、知的体力とは、言い得て妙ですね。往々として、知力よりも体力が必要です (笑)

_ T.Fujimoto ― 2008-04-29 00:40:56

whyさん、コツが体得できたのですか?さすがですね。
確かに細切れな形容詞+名詞が好都合かも知れません。残念ながら、それでも僕にはとても手に負えません。
願わくば、whyさんが一首披露して頂けないものかと...

_ sharon ― 2011-07-14 11:12:20

清代诗人李*《春闺》诗:垂帘画阁画帘垂,谁系怀思怀系谁?影弄花枝花弄影,丝牵柳线柳牵丝。脸波横泪横波脸,眉黛浓愁浓黛眉。永夜寒灯寒灯夜,期归梦还梦归期。

_ T.Fujimoto ― 2011-07-17 06:04:16

sharonさん、句毎に前から読んでも後ろから読んでも変わらない、もう一種類の回文ですね。
実に見事な労作です。ご紹介、ありがとうございました。

あれ?よく見ると、「永夜寒灯寒灯夜」だけは回文になっていませんが。.

_ sharon ― 2011-07-19 17:47:22

正是的,此回文非那回文,
永夜寒灯寒夜永だって,失礼。(!!)

_ T.Fujimoto ― 2011-07-20 11:20:23

sharonさん、なるほど、永夜寒灯寒夜永ですね。意味がわかるようなわからないような... (^^;)

>正是的,此回文非那回文,
此回文皆文回此、彼回文非文回彼、ということですか?

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