にわか魚屋の呼び売り2011-05-04 00:11:18

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 初カツオを書きました(http://tbbird.asablo.jp/blog/2011/04/12/5801133)が、ついてに適当に検索したら、「時に范蠡鰹はいくらするな」という江戸川柳が出てきました。江戸の人たちがいかに漢籍に通じ、中国の歴史に親しんでいたかを、改めて感じました。

 范蠡(はんれい)は中国春秋時代の人、例の「嘗胆」の勾践に仕えた名臣、政治家です。
 フィクションかも知れませんが、勾践が呉に敗れて姑蘇城に監禁されていたとき、魚商に扮して主君に話を伝えたくだりが、日本では「太平記」に出ています。

 冒頭の川柳は、値があってないような高価な初カツオの値段を行商の魚屋さんに聞く、それだけの話ですが、故事にあやかって魚屋さんを「范蠡」に置き換えて、なんとなく格調が高くなりました。

 同じく「誹風柳多留」に見える川柳に、「范蠡恥ずかしさうに魚を呼び」というのもあります。
 本職でないゆえ、呼び売りの声も、どこか恥ずかしそうにしていたんだろう、という想像からですね。