激動期の新聞広告2008-11-24 08:38:14

 「新聞の歴史」(ビジュアル版日本文化史シリーズ、日本図書センター)を借りていますが、本の中に、昔の新聞がたくさん掲載されています。
 記事もそうですが、広告もよく時代を反映しているように見受けられます。


・<大正10年6月3日、九州日報>
  目明きは不自由だ
  こう言つた塙保己一も 大学目薬 のある代だつたら、
  自分も不自由な目あきの一人になつたのだ。
  大学目薬 大阪参天堂合資會社発行


・<昭和3年2月22日、夕刊東京朝日新聞>
 四百匁の石炭で煙草呑む間に沸きすぎる
 知らず知らず腹が福々
 服部式福風呂
  瓦斯風呂も好評です
 日本橋本銀町一 福商会


・<昭和3年4月2日、国民新聞>
 国境を越えて
  等しく各国の人々の味覚に奉仕する
 誇るべき国産調味料の覇王
  日本名物 味の素
 舌は躍る その美味! 舌を巻く その効力!


・<昭和6年8月2日、よみうり少年新聞>
  お存じですか!
  今頃がラチ゛オの一番故障を起こす時です
  おや......ラチ゛オがブツブツ文句いつてゐる
    どうしたのせう......何がわるくなったのです
  おや......ラチ゛オは今日お休みかしら
    ちつとも鳴らないや......ラッパ、トランスが切れたのです
  今スグ電話下谷六六七七 愛國電氣 修理専門店へ


<昭和11年3月1日、大阪毎日新聞>
  高岡博士御指導・専売特許
  缶詰 長崎カステーラ
   春近し! 御進物には......
   缶詰 長崎カステーラをお選びください。
   いつ迄も風味変わらず御遠方へも安心して送れます


・<昭和20年4月25日、静岡新聞>
  アルミ貨総動員!
  沖縄決戦あと一押し、今こそ一枚残らず供出だ
   献納 大和証券静岡支店

コメント

_ 花うさぎ ― 2008-11-24 10:33:49

いったい、何なんだ。味の素のこの自信は!??

塙保己一のことは、確か小学校のころに学校の道徳の時間に習いました。

「障害があるのにもかかわらず大成した偉人」ですからね。

でも、彼は「目は不自由でも、頭は高性能」、私たちは、「目は自由でも、頭は不自由」なので、彼に負けても仕方がないですね。

_ 花うさぎ ― 2008-11-24 10:40:43

「目明きは不自由だ」という塙保己一の言葉は、
「明かりがなければ困る目明きは不自由だ」という意味でしたが、こういう言葉を聞いてみなが理解する時代があったのですよね。
今、塙保己一と言っても、あまり知っている人がいませんね。(一応、高校か中学で群書類従の著者として習うはずですが)

_ 月の光 ― 2008-11-24 22:08:07

ラッパ→スピーカー? トランス・・・
暑くなると、銅の巻き線が切れる?のですか??
エナメルが融ける?のですか???
うーん 不思議だ

_ T.Fujimoto ― 2008-11-26 00:05:41

花うさぎさん、
確かに「味の素」のあの自信は不思議なぐらいですね。
実はもうひとつありました。

<昭和7年1月9日、東京日日新聞>
 「世界最強」
 効力は世界最強!
 調味の最前線に立ちて絶對に不味の侵入を許さず
 味の素

_ T.Fujimoto ― 2008-11-26 00:10:25

花うさぎさん、
いまと違って、塙保己一の名前をあげれば、とりあえずは理解される時代だったのでしょうね。

_ T.Fujimoto ― 2008-11-27 07:57:00

月の光さん、トランスうんぬんということは真空管ラジオ、そういう時代でしたね。
暑いからかどうかわかりませんが、切れることがあるのは確からしいです。

_ why ― 2008-11-30 21:39:16

>誇るべき国産調味料の覇王
控えめな表現が主流になっている今では、ちょっと見られない主張の強い文言ですね。なんだか日本というより中国的な表現のような気もしました。

>お存じですか
>長崎カステーラ
言葉の移り変わりを実感させられて、面白いです。

>沖縄決戦あと一押し、今こそ一枚残らず供出だ
どこかの国の大躍進の時代を彷彿させますね。

_ T.Fujimoto ― 2008-12-03 07:54:08

whyさん、
いまでは控えめな表現が主流ですが、戦争に勝ち続けていたせいか、ある時期の日本は自信(過信?)に満ちていました。(国粋主義の跋扈にも繋がっていたか)
その時期の、例えば志賀重昴の日本風景論などを読んでも、人文ばかりか、自然でさえ日本は世界で突出して優れていると自信満々に主張しているのに閉口してしまいました。

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