ビゴー日本素描集2018-07-22 23:23:51

 岩波文庫の「ビゴー日本素描集」を眺めています。

 ジョルジュ・ビゴーの漫画、イラストは、ユーモア溢れるものです。

 横浜-国府津間の鉄道が開通した月に早速、箱根へ行こうと駅で汽車を待つイギリス人一家とか、舞踊を切り上げて「旦那」と一緒にビリヤードを興じる、鹿鳴館に呼ばれて来た芸者とか、主家の坊ちゃんと嬢ちゃんを、お弁当とともに学校に送り届ける女中とか、どれも面白いし、史料的な価値があるように思えます。


 巻末に、清水勲とクリスチャン・ポラックによるビゴー小伝と、ビゴー年譜なるものが掲載されています。

 日本を離れた後のジョルジュ・ビゴーが、東京新橋の扇芳亭の烏森芸者一行の洋行に同行し、通訳を務めた内容のメモを書きました(http://tbbird.asablo.jp/blog/2015/05/07/7629377)が、このことは前記の年譜等には記されていません。
 年譜の1900年の項には、ビゴーの「日本人生活のユーモア」シリーズが警視庁より発売禁止を命じられた、という本人不在の出来事以外、「11月3日 再び兵役に服する (11月30日まで)」、「この年、『日本デッサン集』を刊行。妻マルグリット、長女を出産。」とだけ書かれています。
 扇芳亭の一行は万博終了後もヨーロッパ各地で興行を続けたが、ビゴーが通訳に一時期付いたとしても、さすがに一行がフランスにいる間だけだったのでしょう。