越えられない壁、渡れない橋の向こうの浄土2015-09-15 08:24:17

.
 もう一ヶ月間は経ってしまいましたが、この夏休み中、縁があって、横浜美術館で開かれた「蔡國強展:帰去來」を観覧しました。(http://yokohama.art.museum/special/2015/caiguoqiang/

 寡聞にしても私は知らなかったのですが、蔡氏は2008年の北京オリンピックでは、開会式・閉会式の視覚特効芸術監督を務めた、昨今話題の芸術家だそうです。
 火薬の爆発による絵画等、独創的で迫力のある作品が多かったが、なかでも「壁撞き(かべつき)」という作品、99匹ものリアルな狼が列を作り、ガラスの壁に飛び込み、激しくぶつかる様が、強く心に残りました。

 但し、この作品にはどこかで既視感がありました。
 間違いなく初見でありながら、です。


 いまになってなんとなく思い出しました。
 上の絵が、江戸時代の絵師、曾我蕭珀の「石橋図」です。それぞれ個性的な表情、姿が与えられた無数の獅子たちが、川を越え、危険極まりない天台山の石橋に挑んでは絶壁から谷底に落ちていく様子が描かれています。
 なぜ獅子たちは押し合いながら、天険に挑んでいくかは不明です。

 崖から落ちた獅子たち、ガラスの壁にぶつかった狼たち、どちらも性懲りもなく再び立ち上がり、そして再び難関に挑むように見受けられる構図です。
 なんとなくですが、輪廻の怪しさと悲しみを思い出させます。

コメント

_ 二胡ちゃん ― 2015-09-15 20:35:10

私も以前から気になっていて、来週見に行く予定です。

そうですか、「石橋図」という獅子の絵があるんですか。是非こちらも見てみたいです。

_ T.Fujimoto ― 2015-09-19 00:12:54

二胡ちゃんさま、こんばんは。
やっぱり蔡國強さんは、有名なのですね。台湾の友人と話をしても、知っているのは当然な感じでした。知らなかったのは無知な私だけ、トホホです。

_ why ― 2015-09-21 11:11:11

「石橋図」、初めて見ました。時代やジャンルを問わず、クリエーターたちの胸に潜む想いやアイデアは図らずも一致するものが多いということでしょうか。
輪廻の怪しさと悲しみと少しかけ離れた、もうちょっと明るくて俗っぽいものかもしれませんが、「鯉魚跳龍門」も思えば、構図だけは似ているかもしれません。

_ 二胡ちゃん ― 2015-09-21 21:04:54

横からごめんなさい。whyさん、お久しぶりです。
(xing)です。自分の名前を忘れ、もう二胡から遠ざかっているのに、二胡ちゃん、になってます。えへ。
横浜美術館へ今月中に行く予定です。

_ why ― 2015-09-21 23:55:48

Fujimotoさん、お名前の入力を間違ってすみません。
どうもPCの調子が悪いです。うふふ、ひとまずPCのせいにしました。
のちほど、個別でPCにも謝ります。

_ 二胡ちゃん ― 2015-09-22 01:59:08

whyさん ありがとうございます。 whyさんのメールの方にお返事しま~す。

Fujimotoさん、お騒がせしました。すみません。

_ T.Fujimoto ― 2015-09-22 09:25:57

whyさん、おはようございます。
私も詳しくは知らないですが、「美の巨人たち」で取り上げられて、曾我蕭白の絵は構図が凄いなと思いました。石橋図もそうですが、「雲龍図」や「龍図」とか、とても250年前の作品だと思えませんでした。

_ 秋葉@ゑこう ― 2015-09-24 23:42:28

こんばんは
蔡國強という方を知りませんでしたが、サブタイトルに惹かれて、リンク先を覗いてみました。日本で創作活動を始めた方らしいので里帰り展ということなのでしょうか。
それにしても、蕭白は、昔の方なのに今風ですね。劇画風というか、なんというか。面白いです。

_ why ― 2015-09-25 00:13:36

コミカルに描かれた曾我蕭白の雲龍図を観て、ふと昨年、京都建長寺で観た雲龍図を思い出しました。雰囲気でしょうか、色使いでしょうか。どことなく通じるところがあるような気がして。
作者は鎌倉在住だった小泉淳作氏だそうです。

_ T.Fujimoto ― 2015-09-26 21:38:53

秋葉@ゑこうさん、こんばんは。
仰るとおり、蕭白の絵はユーモアなところもあり、なにより構図が劇画風だと私も思います。龍図などは、本当に現代のマンガぽいですね。

_ T.Fujimoto ― 2015-09-26 21:52:11

whyさん、こんばんは。
ご紹介して頂いた京都建長寺の雲龍図を、グーグルで検索しました。なるほど、筆のタッチは違うようですが、雰囲気などどこか通じるところがありますね。

_ 二胡ちゃん ― 2015-10-11 21:25:03

蔡国強展 とても面白く観てきました。

ショップでふと手にした「ヘンな日本美術史」という本を購入。これがまた面白かった。今までの日本画に対する見方が変わりました。
曽我蕭白に関する本も図書館で借りて読みました。すごい人ですね。その本には「石橋図」の絵は掲載していなくて、今度は載っている本を借りようか、と思っています。
蔡国強から始まって、いろいろ興味が広がってきました。

_ T.Fujimoto ― 2015-10-12 11:32:12

二胡ちゃん様、こんにちは。
曽我蕭白に関する本や「ヘンな日本美術史」、おもしろそうですな。私も興味が沸きまして、時間があれば探してみようかと思います。
ご紹介ありがとうございました。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://tbbird.asablo.jp/blog/2015/09/15/7793255/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。