動く歩道と、動く世紀の変わり目2015-09-02 23:55:12

 2002年、パリのモンパルナス=ビヤンヴニュ駅で、最高時速が12kmに達する動く歩道が設置され、「世界最速」として世間の耳目を集めましたが、転倒して怪我をする人が続出したためわずか数日で、一旦運転停止になりました。


 元々動く歩道が最初に設置されたのもパリでした。
 パリでは1900年に新世紀の到来を祝う万国博覧会が開かれました。万博の起源は1851年のロンドンだとされていますが、パリでは場所が良いことで何回も開かれて、1900年のものはパリ・オリンピック(第2回近代オリンピック)も併せて開催されて、過去最大の観覧客を集めたそうです。
 会場には、当時世界最大となる高さ100メートルの観覧車、巨大発電機を集めた電気館、夏目漱石も乗ったというエッフェル塔のエレベーターが建設され、そのエッフェル塔からのエスカレータ、および3キロにも及ぶ長い動く歩道も注目を浴びました。
 言ってみれば、電気文明を誇る博覧会でした。
 但し、日本館ではただ法隆寺金堂を実物大で再現し、古美術品を展示し、おいらんが緑茶のサービスをしたそうです。

 扇芳亭の女将・岩間おくに率いる芸者たちが会期中、舞台出演したことは、前に書きました。(http://tbbird.asablo.jp/blog/2015/05/07/7629377


 20世紀の到来は、正確には1901年からです。
 それでも数字の百の桁が変わる1900年が新世紀を考えた人は当時に多かったようで、1900年は19世紀の最後なのか20世紀の最初なのかについて、数年前から盛んに議論されたそうです。

 当時の東京日日新聞によれば、1900年をもって20世紀の初頭とすることをドイツの皇帝が決定したことに、イギリスもやむなく習うほかあるまい、他の国そうするであろう、との記事がイギリスの新聞に載ったそうです。