道の地図と区画の地図2014-08-23 21:21:24

 名探偵シャーロック・ホームズが住んでいた下宿の住所は、ロンドンのベーカー街221B番(221B Baker Street)となっています。

 ホワイトハウスの住所はワシントンのペンシルベニア通り1600番地で、台湾の故宮博物院の住所は台北市士林区至善路二段221番です。イギリスもアメリカも中国も、家のありかは道によって印されます。道それぞれに名前が付けられ、その道の何番目の家であるかがわかれば、場所が特定可能となります。
 英米の町の市街図を見ると、「Street Atlas」の副題に付けられることが多く、つまり「道」が中心の地図です。人々が空間の把握するのに用いられるのは、常に道路が中心であることが伺えます。

 しかし、日本では住所の表記が異なります。
 どこからどこまでがなんと言う町で、どの家が何丁目の何番地にあるかは、すべては「面」の地図が存在しているうえに成り立っています。
 この違いがなぜ起きたかを、僕はよくわかりません。

 土地の、主たる利用方法が違うためかも知れません。
 日本では土地が田んぼなどの区画で区切られ、家もそれぞれの区域のなかに建ち、重要なのは平面のきり方の方です。道というものは畑の畦道のように、各区切りの境界に過ぎない、という考え方だったからかも知れません。