【メモ】「和唐珍解」の変な中国語2014-05-29 07:25:45

 唐来参和が1785年に書いたとされる洒落本「和唐珍解(ほうとんちんけい)」が、東京大学の霞亭文庫で読めます。

 なかに、中国人同士の会話があります。
 李蹈天:「你們可回去」
 従者:「領旨」
 李蹈天:「明朝早些來。我這裏等候。快些去了。不可路上住脚」
 通詞:「多労多労」
 従者:「去了」
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 (http://kateibunko.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/katei/cgi-bin/gazo.cgi?no=362&top=6

 この中国語らしきものは、左右両側にルビが振られ、右はその発音で、左は日本語の意味を示しています。中国語の漢字を形も音もおもしろがろう、楽しんでみよう、という趣向でありましょう。


 唐来参和は江戸の版元蔦屋重三郎の食客になった人で、狂歌は大田南畝)の門下であり、著した黄表紙「莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)」(1785)は、金ができて苦しむという現実を逆転させた趣向と、その外題の回文によって、黄表紙中の傑作だと評価されています。
 当人は中国語が堪能だったかというと、そうでもないようです。研究者によれば、当時の小説翻訳者岡島冠山が編集した「唐語纂要」などの辞書によっているそうです。若干変な中国語になっているのも、仕方のないところです。

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