偶然2012-05-28 23:47:13

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 先日、奇跡の双子の話をテレビやっていたのを、たまたま見ました。

 よく知られる有名の話であるようですが、幼い頃から生き別れることになった双子が、まったく連絡をとらなかったにも関わらず、両方とも養父母からJimと名づけられ、二人ともLindaという女性と結婚し、生まれた息子につけた名前はそれぞれAlanとAllanでした。そして二人とも離婚して、これまた二人ともBettyという女性と再婚し、かつ二人とも飼い犬にToyという名前をつけていたそうです。


 世の中、ときにはものすごい偶然が発生するようです。

 ケニアに TANAという川があります。
 シドニー・アンスワースというイギリスの作家がケニアから帰国した後、人に勧められて初めて購入したサラブレッドに、TANAという名前を付けました。1968年、2歳になったTANAはデビューし、初戦こそ8着に敗れましたが、その後に鮮やかな三連勝を飾り、ステーヤー血統も相まって、オークスの最有力馬と目されました。そのとき、かねてから親しい競馬紙の記者に調べてもらったところ、競馬史上にはTANAという名前の馬が前に2頭いたことがわかりました。1908年にフランスで生まれた葦毛の牡馬、1936年にアメリカで生まれた栃栗毛の牝馬、2頭ともたまたま4戦3勝で死亡しました。
 そして、それから十日も経たないうち、シドニー・アンスワースのTANAが、調教中の事故で死亡した知らせが届いたそうです。


 昭和23年6月号の「アンサーズ」の編集後記を、澁澤龍彦がそのエッセイで引用しています:
 「恋するも、恋されるもそのキッカケはすべて偶然のたまものでありまして、この偶然といふのはまことに曲者でありますからよくよく御注意なされるがよろしい。といふことを、この青春バラエティ特集の後記において申し上げます。
 些細な例が、先日ある街で眉目美しい女性があまりいただけないアンチャンとアベックで歩いていまして、私は彼女等を追越すときに思はず『ああモッタイない』といふ言葉を口のなに洩らしました。ところがその瞬間に洩れ聞こえた彼女等の会話の声は、『それはモッタイないワ』といふ女の声でありました。じつに、私の言葉と彼女の言葉との発音されたのは、まったく同時であったのです。」

 無署名ですが、書いたのは吉行淳之介に間違いない、と澁澤龍彦は書いています。

コメント

_ sharon ― 2012-05-30 14:58:44

幾つかの面白い偶然が重ねましたね。

_ T.Fujimoto ― 2012-05-31 07:52:52

sharonさん、おはようございます。
神様は賽を投げないはず、と言ったのはアインシュタインでしたっけ?力学的に言えば、偶然も必然なのですが、そう簡単に世の中はできていないようですね。

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