雨を聴く2006-12-27 01:54:59

 ほとんど一日中、雨でした。

 高校時代の恩師から教わった、蔣捷という人が書いた詞を思い出しました。
 漢詩と比べても、最初から最後覚えている宋詞なんて数えるほどしかないですが、この「虞美人」はそのなかの一首です。

 教科書に載っていたわけでもなく、試験で出たわけでもないですが、なぜかずっと忘れられない、とても印象深い詞です。


 少年聴雨歌楼上, 紅燭昏羅帳
  壮年聴雨客舟中, 江闊雲低 断燕叫西風

 而今聴雨僧廬下, 鬢已星星也
  悲歓離合総無情, 一任階前 點滴到天明
    

 かなり適当に訳してみました:

 少年の頃は、遊廓の上で雨を聴き、
 ロウソクの炎が寝床を柔らかく照らしていた。
 壮年のときは、旅を行く船のなかで雨を聴き、
 広い川を雲が低く覆い、群れから離れた雁が西風のなかで悲しく泣いていた。

 いまは、僧院の屋根の下で雨を聴き、
 すでに鬢に白いものが多く混じている。
 人世の悲喜と離合はどうしようもなく、
 階段の前のあまおとを、夜が明けるまでただ聞くばかり。